fbpx

“五輪禍”にスポンサーが四苦八苦。トヨタはCM中止で損切り、コカ・コーラは忖度騒動で評判ガタ落ち。協賛してないヤマサも炎上へ

今週金曜日にいよいよ開幕する東京五輪だが、この土壇場のタイミングでトップスポンサーであるトヨタ自動車が、五輪関連のテレビCMを放映しないことを決断し、大きな波紋が広がっている。

報道によると、広報を担当する長田准執行役員は「色々なことが理解されていない五輪になりつつある。アスリートが集中できることを一番に考えたい」とコメント。CM放映を見送るに至った直接的な理由は明かされなかったが、CM放映によって参加選手への批判が強まったり、企業イメージが低下したりすることを危惧したとの見方が強まっている。

なお、CM放映の見送りは日本国内のみで、すでにCMが流れている欧米や豪州では、中止などの対応は取らないという。さらに、選手や関係者の輸送を担う車両提供といった大会の運営支援は続け、国内外含めたトヨタ関係のアスリートたちの応援も、ネット上の自社メディアなどを通じて続行するという。

いっぽうで、同じく五輪スポンサーの味の素も、五輪選手を応援する内容のテレビCMを用意しているものの、「流すかどうかは未定」と対応を検討中とのことだ。

また開会式についてもスポンサー各社の不参加表明が相次ぎ、トヨタ、味の素、NTT、NECなどが幹部の出席を見送るとしている。さらには経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体のトップもそろって欠席を表明。経済界全体からイメージ悪化を避けたいとの意識が見てとれる。

トヨタCM引き上げに「賢明な判断」との声

コロナ禍による開催順延にくわえ、次から次へと不祥事や騒動が浮上するなど、とにかくグダグダな状況が続く東京五輪。それだけに、今回の決断に対しては「ついにトップスポンサーのトヨタが五輪を見限ったか」との声も。

ただ、日本国内における五輪への冷ややかな視線をしっかりと勘案したうえで、開催目前というタイミングながらもすっぱりとCM放映の見送りを決めたという、ある意味でのトヨタ一流の“決断力”に対しては、「惰性に流されずよく決断した」「賢明な判断」などと、その冷静な損切りぶりを称賛する意見も多く見られる。

また今回のCM放映見送りは、決してトヨタが五輪を見限ったわけでなく「トヨタが見限ったのは日本のテレビ局では?」との意見も。確かにトヨタは、五輪運営や出場選手への支援は続けるうえに、CMを放映しないのは日本国内のテレビ局だけなので、そのような指摘もあながち見当違いではなさそう。もし、今回のトヨタの動きに他のスポンサー企業も追随すれば、五輪中継は「ACジャパン」の公共広告だらけに……そんな予測が早くも浮上する事態となっている。

このようにトヨタによる「CM放映見送り」が一定の評価を得ているいっぽうで、同じく五輪のトップスポンサーのコカ・コーラは、イメージ失墜の危機にあるという。

というのも、茨城県鹿嶋市の市立学校が、五輪の競技会場であるカシマスタジアムに持ち込む飲み物について「コカ・コーラ社製の飲料でお願いします」と保護者に通知していたことが判明。市に苦情が殺到する事態になっているというのだ。報道によると、今月9日に組織委が会場を視察した際、その担当者が「コカ・コーラ社製以外のペットボトルは持ち込み禁止」「それ以外はラベルをはがして」と発言したようで、それを受けての上記の通知になったようである。

【関連】五輪海外選手“観光バスツアー”計画発覚、利権絡みとの疑念も。中学生にスポンサー忖度強制など感覚ズレまくりの組織委に批判殺到

ちょっと前の聖火リレーの時には、スポンサー企業のものでないウエアのブランドロゴをガムテープで隠せという忖度を、参加していた中学生に強いていたようだが、この手の話が発覚した際、忖度された側の企業も大きな痛手を負ってしまうのが常。同じトップスポンサーであるトヨタとコカ・コーラ、今回は明暗が分かれる格好となったが、どちら側にしても「五輪に関わるとロクなことがない」という思いでは一致しているのかもしれない。

スポンサーじゃないのに五輪絡みで大炎上のヤマサ

さらに、トヨタやコカ・コーラのようにスポンサーには名を連ねていないのにも関わらず、このところ五輪絡みで大変なことになっているのが、しょうゆなどで有名な調味料メーカーのヤマサだ。

五輪開閉会式の音楽担当だった小山田圭吾氏が、数十年前にサブカル誌などで自らが加害者側として関与した「いじめ体験談」を嬉々として語っていた件が「発掘」され、ネット上で批判の声が渦巻く事態に。小山田氏は五輪の担当を辞任するに至ったのだが、その際に「はーい、正義を振りかざす皆さんの願いが叶いました、良かったですねー!」と、まるで煽るようなツイートし、これまた大炎上となったのが、小山田圭吾のいとこであり音楽プロデューサーの傍ら肉マイスターとして活動していた田辺晋太郎氏だ。

田辺氏はすぐさまツイートやアカウントを消して逃亡態勢に。これにより行き場を失ったネット民の怒りの矛先が、田辺氏が製品の開発・監修などで密接に関わっていたヤマサに向く形に。「豆腐で作るラタトゥイユ?」なる昆布つゆ活用レシピを紹介したごく平和なツイートに、怒りのコメントが殺到してしまったのだ。

この事態を受けて、ヤマサは20日の午後に公式ツイッターアカウントにて、田辺氏の問題発言に関してのコメントを掲載した。

「ご不快な思いをさせてしまったことについてお詫び申し上げます」とのコメントから始まる一連のツイートによると、商品監修などといった田辺氏との契約はすでに終了し、関連製品もすでに終売しているとのこと。さらに自社サイトに掲載されたリリースには、「弊社は「公正・公平であること」を企業行動規範に掲げており、あらゆる差別やいじめ、虐待などの人権侵害について、これを容認するものではありません。」と記されている。

予期せぬ形で炎上騒動の渦中に放り込まれた格好となったヤマサに対しては、「巻き込み事故」「とばっちり」などといった同情するような声も。とはいえヤマサは今回の田辺氏による騒動の勃発後、そそくさと田辺氏関連の商品ページを削除していたとの指摘もあり、「結局はヤマサも小山田氏や田辺氏と本質は一緒じゃない?」といった声もあがるなど、批判の声はいまだ収まらぬ状況だ。

このようにスポンサーとして関わる企業はもちろんこと、直接関わり合いの無い企業までも修羅場に引きずり込んでしまう、なんとも因果な存在となってしまっている五輪。今のところCM放映を行うか否かの態度表明をしていない企業のなかにも、「触らぬ五輪にたたりなし」とばかりに距離を置くところが出てきてもおかしくない情勢だ。

Next: 企業イメージ守るためにはスピードが大事

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー