最大級のケチが付いたオリンピックに開会式など必要ない当然の理由

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開催間際まですったもんだで反対論が噴出し、いまだ安心も得られず安全な感じもしてこない東京2020オリンピック。それでも開会式は7月23日の夜に執り行われます。本来はコロナ禍の大会での開会式など不要と持論を述べた上で、どうせなら居並ぶ「五輪貴族」の面(ツラ)を見てやろうと考え始めたと語るのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さん。腹立たしいことだらけのなかで、トヨタが下した開会式や大会関連CMに姿(顔)を見せないという決断に賛辞を送っています。

面と顔のこと

いよいよ今週、オリンピックが始まる。当初からあれやこれやと付く限りのケチがついた大会準備期間であったが、最後の最後になって障害者差別という最大級のケチが付いたところで本番という、後味どころか何とも前味の悪い開会となった。

ついでだから言うが、本大会において開会式をする必要は全くない。競技を前にただただ選手たちの感染リスクを高めるだけだからである。敢えて悪意をもって言えば、五輪貴族のプライドを満足させるためだけのパレードのようなものである。言うまでもなく、この貴族とは東京大会が開かれさえすれば、多額の放映権料を手にできるIOCのVIPとその周辺の人たちのことである。

要するに彼らにしてみれば開催こそが重要なのであって、無観客だろうが、東京がどうなろうが、日本がどうなろうが、知ったことではないのである。だからこそ「このオリンピックが日本の感染を拡大させるリスクは全くのゼロである」(IOCバッハ会長)といった、何の根拠もない極めて軽佻浮薄な無責任発言も平気でできてしまうのである。

もしチャンスがあれば、まばらになった会場の客席に別枠という特権を与えられてふんぞり返る貴族たちの面(ツラ)をテレビなどで是非見てやろうと今は意地悪く思ったりしている。

片や日本の大会組織委員会はと言うと、無観客と五輪関連商品のショップ閉鎖により赤字決算はほぼ確実である。さすがに赤字の補填までスポンサーにおねだりはできないから当然これは国と都の負担、即ち国民と都民の負担となる。都民は国民でもあるから二重負担である。ただでさえコロナで大変な時にやってくれるものである。これに関しては関係者の面(ツラ)など二度と見たくない。

そうした中で、ただ一つだけ胸のすくニュースがあった。スポンサー最高位のトヨタ自動車が五輪関連のイメージCMの国内放映を見送り、さらに社長をはじめとする関係者の開会式出席を取りやめたことである。1000億円超とも言われているスポンサー料に加え、約3300台ものFCV(燃料電池自動車)やEV(電気自動車)を大会関係車両として提供していながらのこの決断である。なんと潔いことか!

スポンサー契約はコロナ前に決まったことであるから責任をもって全うする。ただ一企業として日本国民に何らかの配慮はできる筈だ。少なくとも自分にはこんなメッセージのように感じられた。

会場にいないことで逆にその存在感(=顔)を示す。五輪開催前夜にして、今のところ唯一誇りに思えることである。

image by:Paolo Bona / Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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