ロシア首相が択捉島訪問 菅政権下で初、実効支配誇示―非関税特区の創設提案も

2021.07.26
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by 時事通信


26日、北方領土の択捉島を訪問したロシアのミシュスチン首相(左)(ロシア政府提供)

26日、北方領土の択捉島を訪問したロシアのミシュスチン首相(左)(ロシア政府提供)

  • 26日、北方領土・択捉島の水産加工場を視察するロシアのミシュスチン首相(左から2人目)(ロシア政府提供)

 【モスクワ時事】ロシアのミシュスチン首相は26日、北方領土のを訪れた。ロシア首相の北方領土訪問は2019年8月のメドベージェフ前首相以来2年ぶりで、昨年7月に領土割譲禁止を明記した改正憲法が発効してから初めて。首相の就任後でも初。ロシアの実効支配を改めて誇示した形で、日本政府は抗議した。
 インタファクス通信によると、ミシュスチン氏はで、北方領土を含むクリール諸島に非関税特区の創設を提案していると説明した。そのほかの免税措置も検討しているという。ミシュスチン氏は「欧米や日本の投資家にとって良い方策となる」と主張したが、日本にとって受け入れ可能な内容かは不明だ。税の減免措置が導入され、第三国から北方領土への投資が拡大すれば、領土問題の解決は一層困難になる恐れがある。
 プーチン大統領は23日の安全保障会議で、北方四島での日ロの共同経済活動に関して「完全にユニークで前例のない性格」の提案を協議していると明らかにしていた。ロシアは9月に下院選を控えており、北方領土の開発に取り組む姿勢を国内向けにアピールする狙いもありそうだ。ミシュスチン氏はで病院や水産加工場を視察した。
 北方四島での共同経済活動は、プーチン氏と首相(当時)が16年12月の首脳会談で、協議開始で合意したもの。海産物養殖や観光など5項目の事業化を目指すが、双方の法的立場を害さない「特別な制度」の構築が難航し、協議は停滞している。北方領土を実効支配するロシアは自国の法制度の下での実施を主張している。(2021/07/26-23:00)

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