教員からの性被害が増加。スクールセクハラから我が子を守る方法

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信頼できるはずの大人からの性被害に遭いながらも、声を上げられない子供たちの数が急増しています。そんな状況にある児童や生徒を、絶望の淵から救い出す手立てはないものでしょうか。今回の無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では元保護観察官の堀田利恵さんが、性被害が疑われる際に観察すべき4つのポイントと、子供が被害を訴えてきた際の対応を紹介。さらに、加害者が教職員であった際に注意すべき点についても記してくださっています。

スクールセクハラから子どもを守るためには

昨年はコロナウィルスの蔓延により、春先から長期間、学校が休校になったために、夏休みが短くなり、子どもたちは猛暑の中、登校せざるを得なくなりました。楽しみにしていた山や海、家族との旅行なども経験することができませんでした。コロナでいろいろと制限が有ろうかと思いますが、今年は、子どもたちが活き活きと過ごせる安全で安心な環境が整ってほしいと願わずにいられません。

さて7月20日には、多くの学校で一学期の終業式を迎えました。リモートで校長先生の挨拶が行われた小中学校も多いようです。夏休みは楽しみですが、反面、海や川、プールなど水の事故には気をつけていただきたいと思います。それだけではなく、レジャー先での誘拐未遂、夜道で露出魔にあうなど、夏休みには性被害が憂慮されます。

今回は、保護者の立場で、そして子どもを守る教師やPTA、主任児童委員、ソーシャル・ワーカーの視点にたって、性被害から子どもたちを守るにはどうしたら良いかを考えてみます。

深刻な性被害の場合、まず第一に、「子どもたちは声をあげられない」、「被害を訴えられない」ということを知っていただきたいと思います。その訴えは、ときとして「からだ言葉」になって表れてくることもあります。特に女子には顕著に現れることが多いのです。

小学5年生の女の子、ナツミ(仮名)さんは、校庭で体育の授業中、足をがくがくさせて、身体全身を震わせて、しゃがみこんでしまいました。顔は真っ青です。立つことも歩くこともできません。周りの子どもたちが気付いて、緊急に保健室に運ばれたのですが、大きな病気の危険も類推されたため、救急車で搬送され、そのまま入院となりました。病院では、さまざまな病理検査が行われましたが、骨折や病変はありません。とりあえず自律神経失調症の病名がついたものの、1週間で退院の予定となりました。

「なにかおかしい、心理的な問題があるのかも…」、担当の女医さんは気にかけていました。明日が退院という日、ナツミちゃんは担当の女医さんに、小さな小さな声で、涙を流しながら訴えました。

「家に帰りたくないです。病院にいたいです」

専門的な手順を踏みつつ女医さんとそのスタッフが聞き出したところ、性的虐待を受けていた事実が判明しました。憎むべき性犯罪者は、母親の再婚相手、つまり義父でした。病院から通報を受け、児童相談所が子どもを保護したことは言うまでもありません。

同じようなケースで、加害者が、まさかの教員ということもありました。性の被害を受けた子どもたちは、最初、何をされているのか、意味がよくわからないばかりか、暴力や暴言を受けて、行動を抑制されたりしますし、被害を言えないだけではなく、子ども自身が情緒不安定になったり、精神的疾患を持つことは決して珍しくありません。また、「お母さんには言うな」と口止めされたり、「お前が約束を守らない悪い子だから、こうなったのだ。」と洗脳されたり、あまりの心的葛藤の末、自傷行為をする場合もあります。多くの場合、高校生ぐらいになってから初めて、「実は、あのとき…」と被害を訴える事例が少なくありません。今も、性被害のPTSDに苦しんでいる方もいらっしゃいます。いじめと同じで、加害者が処罰されずに、放置され続けることは、被害者個人の人生を狂わすばかりか、私たちの社会に及ぼす悪影響は大きいといえます。

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