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日本人は、死ぬまで働く。貯金なし年金なし「高齢労働」社会をどう生き残るか=鈴木傾城

日本は3,617万人が65歳以上の高齢層で、人口に占める割合は28.7%である。彼らの収入の78.8%は公的年金・恩給だが、高齢者世帯の4割程度が生活保護以下の「老後破産」の状態である。そして現在、生活保護の約50%を高齢者が占めている。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

日本人の3分の1は「貯金ゼロ」の状態になっていた

すでに超絶的な格差社会になっているので、一般人はもはや上の上を見ても仕方がないほどになっている。フォーブスに載る富裕層のランキングは、億を超えて兆の単位にまで到達している。金がありすぎて宇宙まで行く始末だ。

一方で、年間所得370ドル(約4万円)以下の絶対貧困と呼ばれる人たちも、世界中で12億人以上も存在する。コロナ禍でもっと増えたかもしれない。日銭が稼げなくなり、その日の食事すらも事欠いている。

彼らの少なからずは食ばかりでなく住居さえもない状態である。路上で寝て、物乞いのような仕事をして生計を立てている。格差の下を見ればどこまでもどん底の人たちがいて、その貧困地獄は際限がない。

日本は極度の富裕層も極度の貧困層も「まだ」存在しないのだが、その日本でも格差が広がっているのだから、いずれその両方が出現する。時間の問題だ。

もちろん、超富裕層になるのはごく少数で大半が貧困層に向かう。そのような社会が見えてきて、「どうしたらいいのか」と、多くの人たちは不安に押し潰されそうになっている。

貯蓄広報中央委員会が2015年11月5日に発表した「家計の金融行動に関する世論調査」(2人以上世帯)の結果が衝撃を与えたことがあった。

その調査では「金融資産を持っていない」と答えた世帯が、全体の30.9%に及んでいた。分かりやすい言い方をすると、日本人の3分の1は「貯金ゼロ」の状態になっていた。

金融資産というのは、株式や投信だけでなく、預貯金、生命保険、個人年金のすべてを含むので、「金融資産を持っていない」というのは、要するに「何も持っていない」と言っているのと同じである。コロナ以前ですらも、そうだった。

65歳以上の高齢者世帯の4割程度が、生活保護以下の生活

総務省が出している2020年のデータでは、日本は3,617万人が65歳以上の高齢層であり、人口に占める割合は28.7%となっている。65歳以上の高齢者は、ほとんどが働いていない。働いても微々たる収入しかないことが多い。

当然、生活を支えるには年金に頼るしかない。現在、日本の65歳以上の高齢者は収入の78.8%を公的年金・恩給に頼っている。しかし、この65歳以上の高齢者世帯の4割程度が、生活保護以下の生活となる「老後破産」の状態である。

そして、存命中に破綻してしまった高齢者は生活保護に頼るしかない。現在、生活保護の50%以上は高齢者が占めている。

これは、コロナ以前のデータである。コロナ以後は生活保護受給者における高齢者の割合は減るかもしれない。それは高齢者の状況が改善するからではなく、若年層や中高年や女性が追い込まれて続々と生活保護を受給する可能性があるからだ。

最近は非正規雇用の蔓延で職や給料の不安定化が常態化しているので、厚生年金がもらえない人が増えている。彼らは基礎年金だけで暮らすことになるのだが、基礎年金は全額かけ続けていたとしても約6万5,000円程度しかもらえない。

老後に足りない分は貯金に頼るしかない。政府は一時期「2,000万円貯めよ」と言ったが、雇用が不安定な中で2,000万円を貯めるというのは並大抵のことではない。「65歳までに1,000万円の貯金があれば貯められた方だ」と言われている。

仮に運良く1,000万円が貯められて、基礎年金以外に月6万円を取り崩しながら生活するとなると年72万円の取り崩しなので、1,000万円の貯金はたった13年で無に帰すことになる。

1,000万円くらいでは老後はまったく安泰ではない。この貧困化の流れは着実に日本全土を覆い尽くしていく。だから人々は、どうすればいいのかと答えを求め、何が何でも貯金をしなければと焦燥感に駆られていく。

しかし、日本人の3分の1は「貯金ゼロ」なのだから、その1,000万円を貯めるにも容易なことではないことが状況を見れば分かるはずだ。

Next: 1,000万円を貯めるのにどれくらいの年月が必要か

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