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五輪招致で贈賄疑惑の竹田元会長、弁護費用2億円「JOC負担」は組織ぐるみの証拠か。赤字五輪のツケを増税で払わされる国民から厳しい視線

東京五輪の招致をめぐる贈賄疑惑で、フランスの司法当局による捜査を受けている元招致委員会理事長の竹田恒和氏。その弁護費用が2020年度までの3年間で約2億円に上り、その全額を日本オリンピック委員会(JOC)が負担していることがわかった。

報道によると、竹田氏には日仏合同の弁護士チームがついており、翻訳料金なども含むと、JOCの負担額は仏当局の捜査が本格化した18年度が約6,000万円、19年度は約1億円、20年度は約4,000万円と、これらを合わせて約2億円となる。

JOCは19年3月の理事会で、今回の件の弁護にかかる費用の負担を決議しているという。フランス当局による捜査はまだ終結しておらず、今後も費用負担が続く見込みだ。

弁護費用の元手に使われるスポンサー協賛金

シンガポールのコンサルタント会社に支払った約2億3,000万円が、開催都市決定の投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)の委員への贈賄のためだったのではと疑われているこの一件。19年1月に竹田氏がフランス当局による捜査を受けていることが判明し、竹田氏は潔白を主張したものも、同年6月末の任期満了をもってJOC会長を退任している。

今回明るみになった巨額弁護費用のJOC負担の件だが、「血税が使われているのでは」といった疑念もあがっていたが、JOCは「国などからの補助金ではなく、企業からの協賛金などの自主財源で賄っている」と説明。このことからネット上では「スポンサー企業の商品を買うと竹田元会長の弁護費用になる?」と、不買を呼びかける声も一部からあがっている。

また、弁護費用を協賛金などで賄っているという点に関しては「スポンサーは納得しているのか?」といった意見も。ちなみに今回の件をスクープする形となった朝日新聞も、東京2020オフィシャルパートナーとして名を連ねる企業のひとつだが、このような形で記事にするあたり、納得しているとは到底思えないところである。

いっぽうで、捜査を受けているのが竹田氏個人にもかかわらず、JOCが弁護費用を負担していることに関して、贈賄は竹田氏個人の裁量ではなく、JOCが組織的に行ったものだと認めていることになるのでは、といった声も。JOCによる巨額弁護費用の負担はもとより、竹田氏が否定している贈賄関与に対しても、国民の目はいたって懐疑的のようだ。

五輪大赤字で住民税アップ?いっぽうでパソナは純利益11倍

いざ始まってしまえば日本人選手の大活躍で盛り上がった東京五輪だが、その熱狂も閉会を機に一気にトーンダウン。替わって「開・閉会式がグダグダな演出に至った経緯」「五輪強行とコロナ感染大爆発の関連性」など、五輪を総括する議論が盛んとなっているが、それらのなかでも今後取沙汰されそうなのが、膨らみ続けた開催費用の是非だろう。

当初は開催費用約7,300億円の「コンパクト五輪」と目指していたものの、予算はどんどん膨らみ続けたうえに、コロナ禍による開催延期によって費用はさらにかさみ、組織委が公表した経費は1兆6,440億円。そこに国が支出した関連経費が1兆600億円、同じく東京都の7,770億円を加えれば、全体の経費はしめて3兆円。さらに別の試算では、4兆円に達するのではないかという見方もある。

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そのいっぽうで、アテにしていたチケット収入は無観客開催の決定によってほぼゼロとなり、その損失の穴埋めのために、住民税のアップも今後あるのではといったもここに来てあがっている。特に東京都は、地方自治体にとっての貯金にあたる「財政調整基金」が、飲食店への協力金支払いなどのコロナ対応によって相当目減りしているとの話もあり、増税待ったなしではといった状況だ。

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そのいっぽうで、五輪関係の事業を一手に受注した人材派遣業のパソナグループは、このコロナ禍の状況下にも関わらず、2021年5月期(20年6月~21年5月)通期の連結業績において、純利益が前期比約11倍の67億円とぼろ儲け。あの竹中平蔵氏が会長を務めるパソナといえば、五輪の有償スタッフ派遣に関して暴利のピンハネを行っているのではと一時話題になったこともあり、さもありなんといった感じではあるが、東京都民をはじめとした国民が、五輪のツケを早速払わされる格好になりつつあることを考えれば、なんとも釈然としない話ではある。

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このように、税金への跳ね返りも危惧されるだけに、国民からある意味での熱視線を集めるのは間違いなさそうな東京五輪の「収支」。そんななか浮上した、今回の「竹田氏の弁護費用2億円+α」のJOC負担に関しても、同様に厳しい視線が注がれるのも無理のないところだろう。

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