これまで金(ゴールド)の現物買いで目立っていたのは中国人とインド人でした。しかし、今年に入ってから、米国の個人投資家も現物買いを増やしているようです。その原因と日本への影響を考えます。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。
米国個人投資家の金(ゴールド)現物買いが急増している
8月5日付の日経新聞によると、アメリカによる今年上半期(1-6月期)の金(ゴールド)現物買いは、62トン(※筆者注:金地金とコインの合計)となり、2000年以降で最大を記録したそうです。
昨年の上半期が30トン弱でしたので、その2.1倍ほどにもなる計算です。
一方で、同時期の中国の買いが485トン、インドの買いは216トンです。アメリカ(62トン)は、まだまだインドと比べると少ないですが、それでもすでに世界第3位です。
急速に2位インドとの差をつめました。
では、なぜアメリカ人は、このように急速に金の現物やコインの購入を増やしたのでしょうか。
カネ余りとリスクヘッジが要因。日本にも波及する?
この点について、日経新聞は以下のように分析しています。
バイデン政権による個人給付や株高による家計のカネ余り<中略>
インフレ懸念も、地金やコインの投資商品としての魅力を高めた。富裕層以外の一般の人々も、インフレに不安感を持ち始めた(マーケットアナリストの豊島逸夫氏)との指摘もある。米国の個人は手元の資産を守るために、長期的な資産形成に適しているとされる地金やコインを買っているようだ。
出典:日経新聞朝刊(2021年8月5日)
つまり政府による個人給付や株高による余裕資金が、金やコインに向かったという面がありますし、さらにアメリカの個人が将来的なインフレに備えるため、長期的な資産の分散を目的として、金の現物やコインを買い始めたと言ってよさそうです。
アメリカの巨額な個人マネーの一部が、金の地金やコインに流れ込むだけで、世界の相場は随分と影響を受けるのではないでしょうか。それは私たちにとっても無縁ではありません。
しかもアメリカ人が持つ懸念は、日本に住む私たちも共有すべき点があります。特にアンテナの高い富裕層による実物資産投資は、日本人の間でも広がっていくのではないでしょうか。
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2021年8月5日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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