PayPayは8月19日、これまで無料だった中小店舗の決済手数料の有料化を発表しました。しかしながら、同社は決済手数料よりも、同じタイミングで発表したマイストア機能を収益化の柱に考えているのではと見るのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。石川さんはそう判断する理由を、自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』に記すとともに、今後のスマホ決済業界がどのような「機能」で争うことになってゆくのかを予測しています。
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PayPayが決済手数料の有料化とマイストア機能を発表――店舗向けマーケティングツールでの競争が激化か
PayPayは8月19日に新しい取り組みに関する説明会を開催。これまで無料としてきた中小店舗向けの決済手数料を10月1日以降、有料化すると発表した。月額1,980円のPayPayマイストア ライトプランに加入すると決済金額の1.6%、未加入の場合は1.98%となる。
他のコード決済が2~3%、クレジットカードが2.5~3.75%であることを考えると、業界最安値を実現することで、中小店舗に継続利用を訴えかけていくようだ。
今回、業界最大手のPayPayがこのような設定をしてきたことで、競合他社も横並びになってくる可能性もあるだろう。
ただ、PayPayとしては、決済手数料よりもマイストア機能のほうが収益化の柱になると踏んでいるのではないか。
マイストア機能では、加盟店に対して、ユーザーへのコミュニケーション機能を提供する。ストアページを作成でき、ユーザーに対してレビュー機能やクーポンなどのお得情報を発信できる。これまで訪れたことのない未開拓の顧客や、頻繁に訪れる客、ここ最近、店を訪れていない客などを絞って、コミュニケーションできるようになるという。
PayPayが横並びで比較していたのが「メッセージアプリA社」「飲食予約サービスB社」「美容予約サービスC社」であった。おそらく、LINE、食べログ、ホットペッパーあたりではないかと想像する。それぞれ、手数料を5,000円から数万円規模に設定しているが、PayPayでは1,980円で提供するとしているのだ。
加盟店とすれば「いかに客を連れてきてくれるか」が重要だ。コード決済が単なる決済手段で現金の代わりになるだけでは意味がない。コード決済を導入することで、顧客接点が増え、アプリを経由して、ストアページにアクセスしてもらい、クーポンを発行することで来店客が増えれば、決済サービスを継続利用するし、マイストア機能にも積極的にお金を払うことだろう。
PayPayのマイストア機能に対抗できるのはどこかと考えていたら、そういえば、食べログを運営するカカクコムにKDDIは出資をしており、すでに食べログとau Payを連携させ、店舗集客を推進すべく動き出していた。また、ホットペッパーはpontaポイントが貯まるのであった。
食べログとホットペッパーをpontaポイント並びにau Payでさらに近づけ、PayPayのマイストア機能とガチで戦えるようになると、結構、面白いことになりそうだ。
PayPayもマイストア機能を1,980円で提供すると言っているが、もっと機能を増やし、月額利用料を上げる一方で、決済手数料を無料にするといったプランも提供できるのではないか。
今後、スマホ決済サービスは単に決済サービスだけではなく、店舗に対するデジタルトランスフォーメーション支援の機能戦争になっていきそうだ。
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image by: StreetVJ / Shutterstock.com