正夢、逆夢、悪夢に吉夢…毎日見ているはずの夢でもすぐに忘れるものもあれば、心に引っかかってずっと覚えているものもあります。今回は「目の前に綺麗な河があって渡れそうなのに渡れない」そんな夢が何を暗示しているのか知りたいとの相談に、メルマガ『富田隆のお気楽心理学』著者の富田隆教授が回答。相談者が不安を感じている様子の「この世とあの世の間」とは別の見立てをしています。
河の流れのように
Question
河の夢を見ました。今まで見たことのない、綺麗な河でした。浅瀬を歩けば、向こう岸に渡って行けそうなのですが、そして、あちらに何があるか心が惹かれているのですが、行けません。河原で仕事仲間とバーベキューをやっているからです。
よく、『ムー』などの記事で「臨死体験」をした人が、この世とあの世の境の美しい川について話していますが、まさか、それではありませんよね。私の見た夢では、河を渡るのを引き留めたのは、家族でも恋人でもなく、仕事仲間です。あちらの岸から、亡くなったお婆ちゃんなどの親しかった人が呼んでいるというようなこともありませんでした。
ただ、向こう岸に行ってみたい気持ちと、「この川はどこに流れて行くのだろう?」という疑問を夢の中で感じたことを憶えています。お盆ということもあり、ちょっと気になりました。何か、解釈のヒントをお教えください。(57歳男性・自営業)
富田隆先生からの回答
おっしゃるように、河というと「この世とあの世の間を流れる河」を連想する人が日本人には少なくありません。また、そうしたオカルト的な象徴も、夢の中にはよく出てきます。ただ、貴方のご覧になった夢を心理学的に解釈すると、少し、違った心象風景が見えて参ります。
貴方は、ご自分の「人生」について、そして、これからの生末(いくすえ)や可能性について考えているのではないでしょうか。河は、人の「人生」や「運命」を象徴するものでもあるからです。
岸から河の流れを見ている貴方は、運命(河の流れ)に身を任せ、自分の人生を充分に生きることができずに迷っています。河をボートで下ってみれば、新しい風景が見えて来るかもしれませんし、河を渡った対岸にある未知の何かは、貴方の人生にとって必要なものであったり、貴方の未来を拡げてくれるものかもしれません。
しかし、これを引き留める者は、家族や友人ではなく、現在の貴方の仕事仲間であり、これは貴方が今どのように社会と関わっているかということを象徴しています。ですから、この夢では、貴方の無意識が、貴方が貴方らしく人生を全うするためには、現実から一歩踏み出す勇気が必要であることを語りかけてきたのではないでしょうか。
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