IR誘致合戦、構図一変 「有力」横浜に反対派市長

2021.08.23
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by 時事通信


横浜市長選で勝利し、祝福を受ける山中竹春氏(右から2人目)=22日夜、横浜市中区

横浜市長選で勝利し、祝福を受ける山中竹春氏(右から2人目)=22日夜、横浜市中区

 横浜市長選で、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致撤回を掲げた山中竹春氏が勝利した。「有力な候補地」(IRに詳しい衆院議員)とみられていた横浜市の撤退が決まれば、関係自治体による誘致合戦の構図が一変する。
 政府は、最大3カ所までIRの整備を認める方針。これまでに横浜市のほか、大阪府・市、和歌山県、長崎県が名乗りを上げている。誘致を目指す自治体から国への申請期間は10月1日~来年4月28日で、各地で作業が本格化している。
 横浜市は、山下埠頭(ふとう)への整備を目指し、事業者選定の最中だった。羽田空港へのアクセスの良さや、1人当たりの消費単価が高い傾向にある首都圏に位置していることから、有力候補との呼び声が高かった。東日本から唯一手を挙げた自治体でもあり、ある政府関係者は「横浜市が取りやめになるのは、IR施策全体にとって痛手だ」とこぼす。
 一方、他の誘致自治体は「横浜の動向にかかわらず、自分たちの整備計画をしっかり作る」(長崎県の担当者)方針。横浜市以外の3地域とも、事業者選定の手続きが進んでいる。
 ただ、横浜市が脱落するとしても、いま手を挙げている3地域がそのまま誘致できるとは限らない。また、新型コロナウイルスの感染拡大で訪日外国人が激減し、2020年代後半に予定する開業までにどの程度回復するか見通せない。「状況に合わせて対応できるよう事業者と連携する」(和歌山県担当者)として、各自治体はより魅力ある計画作りに懸命だ。(2021/08/23-07:03)

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