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菅政権は「安倍の尻拭い」15課題をそのまま残して終焉へ。消費税撤廃こそが日本復活の切り札だ=矢口新

菅政権にとっては、安倍政権が残した課題の尻拭いに奔走させられた1年だった。解決していない課題はざっと15個あり、これらは次期政権が継承せざるを得ない。前政権の膿を出しきり、日本経済を復活させるためには「消費税0%」を実行できる強いリーダーが必要となる。(『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』2021年9月6日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

安倍政権の「尻拭い」で終わった菅政権

菅義偉首相が自民党総裁選への不出馬を決めた。このことは日本の首相が変わることを意味する。

「1年間、まさに新型コロナ対策を中心とする様々な、この国が抱える問題に全力で取り組んできた」。首相は9月3日、党役員会で総裁選不出馬を表明後、首相官邸で記者団にこう強調した。

最終局面で首相は小泉進次郎環境相と4日連続で会談したという。勇退を進言したという小泉氏は涙ながらに、「批判ばかりだったが、1年間でこんなに仕事をして結果を出した政権はない」と述べた。

菅首相が全力で取り組み、出した結果とは、「世界に後れを取ってきた脱炭素とデジタル行政を看板政策として前進させた」ことを意味するのだろうか?

あるいは「他の先進国に後れを取ってきたワクチン接種を前進させた」ことだろうか?

それとも「新型コロナ対策としてロックダウンなど経済を止めることを主張する各地の知事たちと折り合いながら、オリンピック・パラリンピック開催を含め、まがりなりにも経済を動かしてきた」ことだろうか?

とはいえ、国民がそれらの成果を評価せず、支持率が落ちたことが「勇退」につながったことは否定できない。

しかし、「世界に後れを取ってきた」「他の先進国に後れを取ってきた」「経済を止めた」「コロナ禍でのオリンピック・パラリンピック開催」と、これまでの政権の尻拭いに終始した政権であったことも事実なのだ。

このことを、私は菅首相誕生時点から指摘してきた。拙著『日本が幸せになれるシステム』の前書きから、該当の個所をそのまま引用する。

消費税がすべての元凶

2020年9月16日、日本に新しい首相が誕生した。菅義偉第26代自民党総裁が第99代内閣総理大臣となった。自民党の総裁選中、菅氏は「将来的なことを考えたら行政改革を徹底した上で、国民にお願いして消費税は引き上げざるを得ない」と話していた。少子高齢化を踏まえ、社会保障の財源には必要だと訴えたという。

消費税率引き上げが必要だというのは、総裁選に出馬したほかの2候補も同様で、日本の首相には誰がなっても、消費増税が既定路線だったことになる。実際、前任者の安倍晋三前首相は在任中に2度も消費税率を引き上げた。

とはいえ、消費税を導入した翌年が税収のピークとなり、後述するが税率を5%に引き上げた1997年度が経済規模のピークとなった。こうして経済が低迷し、税収が減ったことが、社会保障制度がぐらついている主因だと言える。最終章の「崩壊前夜の社会保障制度」を読んでいただければ分かるが、ほとんどの国民を支えている日本の社会保障制度はこのままでは維持できる見通しが立たないのだ。

消費税のどこが悪いか?

政府財政は国民の税金で運営されている。政府はインフラを整備し、安全に事業がおこなえる環境を整えて、国民が生産によって作りだした富の分け前を税金として徴収する。このとき、生産の成果に応じて徴収するのが所得税や法人税だ。消費税とは、秋の実りを待たずに種や苗の段階で10%を徴収するようなものなのだ。これでは、実りのもとを取りあげられたことで生産が低迷し、かえって税収が減少する。

税制は国の土台だ。土台が腐っているのに、行政改革で雨漏りや風除けだけを修理しても無駄になるのだ。そこで多くの図表をつかって、グラフを見るだけでも理解がすすむように心がけた。より多くの人々が消費税を理解しないと、日本は良くならないからだ。

Next: 菅政権でも進展せず。安倍前首相が残した15個の課題

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