fbpx

公立高校教師の“育児マンガ出版”を教育委「不許可」で訴訟へ。賃貸不動産管理はOKで、なぜダメなのか?公務員の副業めぐり賛否噴出

都立高校の教員が描いた漫画の出版に関して、東京都教育委員会が不許可としたことを巡り裁判沙汰となっていると報じられ、広く議論を呼んでいる。

報道によると、この男性教員は次男が誕生した際に育児休暇を取得。その子育ての様子を漫画にして、Twitterなどで発表していたが、それが評判となり書籍化の話が進むことに。勤務時間外に漫画を加筆するにあたって、任命権者である東京都教育委員会の許可を得る手続きをしたところ、不許可を告げられたという。

理由を聞いても曖昧な返答しかもらえなかったという男性教員は、不許可となった理由や兼業許可の基準を知るべく、不許可処分の取り消しと損害賠償を求めて、裁判を起こしたという。

教育委員会の“頭の固い”対応に批判の声

ここ数年は「働き方改革」ということで、サラリーマンの副業や兼業を国を挙げて推進しているが、ただ今回の男性教員のような公務員の間では、未だに厳しい制限が存在するようだ。

今回の裁判において争点のひとつとなりそうなのが、男性教員が行っている副業の内容が、いわゆる教育活動に沿うものなのか否かという点。今回の件で東京都教育委員会は男性教員の副業に対し、教育に関する他の事業若しくは事務に当たらないと主張しているという。

ただ、教員の副業や兼業は100%認められないわけではないようで、ある年には1,200件程度認められているとのこと。ただ、その内訳を見てみると「教科書執筆」「講演会講師」に並んで「賃貸不動産管理」の3つが副業として認められやすいという。

しかし「教育に関する他の事業若しくは事務」ということでいえば、「教科書執筆」「講演会講師」は至極納得だが、3つ目の「賃貸不動産管理」、いわゆる大家さん業務がなぜ認められているのかは、まったくの謎。なんでも、この3つが認められることがもはや毎年の慣例となっているという話もあり、恐らくは副業・兼業の申請に関して、その内容が十分に精査されることはなく、前例の有無のみで決めているのではないかといった推測も浮上しかねない状況だ。

副業・兼業が大いに推奨される時流のなか、そんな教育委員会による“頭の固い”対応に対して、ネット上では「時代に見合わない法に意味あるの?」「出る杭は打たれる時代は古い」などと、反発する意見が多数。また公立校の教員といえば、土日祝も部活動の指導や引率などの時間外労働を強いられる割には、その見返りがほとんどないという“ブラックぶり”も知られるだけに、その件とも絡めて「そりゃ、なり手も激減するよね」といった声もあがっている。

過去の事例から分かる「教員の副業はバレやすい?」

とはいえ、この件に関しては男性教員に対しての否定的意見も見られ、「育児休暇中の仕事で収入が許されたら、色々迷走し出す気が…」といった意見や、漫画の出版が原則的に教育とは関係ないとする教育委員会の言い分のほうが通っているとの見方も。ちなみに公立校の教員は育児休暇中、給与の支給は無いものの、しかるべき手続きを踏めば、共済組合から育児休業給付金がもらえるようだ。

このように、公立校の教員による副業・兼業に対しては、現状賛否が分かれる状況とあって、それなら現実的には「こっそりとやるしかない」という意見も多い。ただ、教員による副業がバレて、懲戒などの処分が下ったというケースは過去に多くあるようだ。

そんなケースのひとつとして、今でも語り草となっているのが、大阪市の市立小学校に勤めていた女性講師が、実は府内のファッションヘルスで働いていたという件。このケースでは、学校に「講師が風俗店で働いている」という匿名電話が複数回あったといい、学校側は事実確認をするも、女性講師はそれを否定。しかし、その後学校関係者が女性講師を尾行し、風俗店に入ったところを確認したのだという。

尾行までして証拠を得ようとした学校側の執念が実った形だが、このケースから分かるのは、やはり他の公務員と比べても教員という立場だと、父兄などの目があることから、風俗嬢に限った話でなく副業・兼業が露見しやすい点、さらにそれが大きな問題となりやすいとも言えそうである。

とはいえ、時代に即した明確な副業・兼業の基準を、教育委員会なりが示しさえすれば、今回の男性教員が直面しているような無用のトラブルは、ほぼ一掃されるのではという声も。今回の係争を通じて、その点がクリアになっていくことを期待している教員も、実は結構多いのかもしれない。

Next: 教師って忙しいのに漫画描けるのすごい

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー