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早期リタイアを「目標」にして失敗するFIREな人々の盲点とは?1億円では足りぬ幸せの条件=俣野成敏

巷でブームになっているFIRE(早期リタイア)。目安で言うと、「25年分の老後費用として1億円を用意し、それを年利4%で回すこと」が、1つの目標になっています。1億円を25年で割ると年400万円ですから、ちょうど現在のサラリーマンの平均年収とも一致します。これに落とし穴はないのでしょうか?FIRE後に「こんなはずじゃなかった!」と嘆かないための心構えを解説します。(俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編

【関連】副業を年商20億円企業に成長させた元・土木作業員の社長に聞く「失敗しない」副業の始め方=俣野成敏

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編』2021年9月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
ビジネス書著者、投資家、ビジネスオーナー。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。2012年に独立。フランチャイズ複数店舗のビジネスオーナーや投資家として活動。投資にはマネーリテラシーの向上が不可欠と感じ、その啓蒙活動にも尽力している。自著『プロフェッショナルサラリーマン』が12万部、共著『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが13万部を超えるベストセラーとなる。近著では『トップ1%の人だけが知っている』のシリーズが11万部に。著作累計は48万部。ビジネス誌やwebメディア掲載実績多数。『まぐまぐ大賞』を5年連続受賞。

「早期リタイヤで悠々自適な人生」を夢見る人々

今回は「FIREで悠々自適な人生は本当か?」特集をお送りします。

最近、巷でブームになっているFIRE(早期リタイア)。リタイアがもてはやされるのは、今に始まったことではないとはいえ、そこに落とし穴はないのでしょうか。

金融の専門家・織田耕平さんをゲストにお迎えし、FIREの実現性などについてお聞きしました。

プロフィール:織田耕平(おりた こうへい)
国内の大手精密機械メーカー海外営業部に配属され、東南アジア・オセアニア地区のセールスマネジャーとして国際ビジネスの現場で経験を積んだ後、国内証券会社に転職。超富裕層を相手に、プライベートバンカーとして個人・法人の資産形成から事業承継に至るまでを一手に引き受ける。そこで航空機を用いた資産運用法と、それによる高い節税効果に気づき、航空機専門商社・リース会社に転職する。各業界を比較検討した結果、「これまでの経験すべてを活かせる場として、海外金融業界で生きていく」決意を胸に、2015年4月に起業。シンガポールにてJIFPA(S)PTE LTDを立ち上げる。現在は、JIFPASのCEOにて海外不動産コーディネーター、シンガポール富裕層へのコンサルティング、金融機関向けに金融商品の開発等を手がけている。

※本記事は、織田さんへの取材をもとに、筆者(俣野)が適宜内容を補って執筆しています。

1億円あればリタイア生活を支え切れる?

アメリカ発祥のFIRE(ファイアー)とは、Financial Independence, Retire Early の略です。

簡単にいうと、FIREとは早期に経済的自立を達成する、いわゆる“早期リタイア”のこと。「節約し、できた余剰金を投資に充てることで、目標額に到達しよう」という考え方です。

FIREでは、一攫千金は狙いません。「節約」「貯金」「無理をしない」などの考え方が、ミレニアル世代を中心に、広く支持されているのでしょう。

目安で言うと、FIREでは「25年分の老後費用として1億円を用意し、それを年利4%で回すこと」が、1つの目標になっています。1億円を25年で割ると年400万円ですから、ちょうど現在のサラリーマンの平均年収とも一致します。

FIREは果たして可能なのか、織田さんに聞いてみました。

「その金額でも、リタイアは可能だとは思います。ただし『1億円でリタイア生活を支え切れるのかどうか?』というのは、人によって違います。

通常、生活の手段として仕事をしていた人が、仕事を辞めて時間だけが余った場合、暇を持て余した末に、支出が上がる傾向にあります。余った時間を、消費することに充ててしまうからです。たとえば旅行に行ったり、趣味を始めるための費用に使ってしまったり、といったように。

私が現在、本拠地としているシンガポールは、投資の利益に課税がされないことから、リタイアした人が多く移り住んでいます。たまに付き合いでゴルフに行ったりすると、そういうリタイア組をあちこちで見かけます。 

彼らは起業し、財を成した後に興した会社を売却、シンガポールで余生を送ろうと思ってやってきた人たちです。しかし暇に耐え切れず、中にはまた日本に帰ってしまう人もいます。

彼らを見ていると、経済的な余裕があるからといって、それが必ずしも幸福感に直結するとは限らない、ということがよくわかります。

FIREの考え方は良いと思いますが、その目的を“リタイア”にすることは、あまりお勧めしません」。

Next: 早期リタイアを目標にすると危険? FIREの主張に「2つの盲点」

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