自民党総裁選にバイデン政権から圧力がかかっているとの見方がある。今のアメリカに「親中」を許す余裕はない。日本にも対中強硬路線を採るように圧力を強めてきていると見て間違いないだろう。ジャパンハンドラーが推すのは河野太郎氏だ。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)
※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2021年9月10日の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
総裁選は派閥結束なしの混戦模様
自民党総裁選における、バイデン政権の圧力について解説したい。
17日告示、29日投開票の自民党総裁選が過熱している。8日の記者会見で高市早苗前総務相は出馬を正式に表明した。石破茂元幹事長は立候補を見送る方向で検討しており、総裁選は、すでに出馬表明している岸田文雄前政調会長、高市早苗氏、河野太郎行政・規制改革相の3氏が中心になる見込みだ。
高市氏に対しては、政治信条が近い安倍前首相が支援する意向を示している。
また石破派は国会内で会合を開き、石破氏に対応を一任した。会合では、石破の出馬を求める声が出た一方、河野氏を支持すべきだとの意見もあった。石破氏は出馬せず、河野氏を支持する方向だ。
一方、河野氏は7日、出身派閥である麻生派の支持固めに動いており、週内にも正式に出馬表明する方針だ(※編注:原稿執筆時点2021年9月9日。河野氏は10日に記者会見を開き、自民党総裁選への立候補を正式に表明しました)。
また岸田氏は7日の岸田派の総会で、選挙戦を戦う決意を表明している。
野田聖子幹事長代行は、出馬に必要な推薦人20人確保のメドは立っていないものの、出馬には意欲的だ。
このように、今回の総裁選はすべての派閥が結束して支持できる統一候補が存在しないので、混戦状態になっている。
いまのところ、河野氏と岸田氏が一歩先んじているようだが、事態はまた流動的だ。
CIA系シンクタンクは総裁選をどう読んでいる?
そのようなとき、CIA系のシンクタンク「ストラトフォー」は、総裁選の結果を予想する記事を出した。ちなみに「ストラトフォー」は、CIAの元分析官のジョージ・フリードマンが1997年に設立したシンクタンクだ。CIAほか、米政府機関やアメリカを代表する企業がクライアントになっている。歴代の米政権の外交政策立案に、一定程度の影響がある。
そうした「ストラトフォー」だが、9月3日に「菅総理大臣が辞任。次は誰だ?」という記事を発表し、今後の動きを占った。
その見立てによると、すべての派閥が結束して支持できる統一候補がいるとすれば、それは前首相の安倍晋三だけであり、彼が出馬表明しない限り、日本は毎年首相が変わる回転ドア式首相の時代に逆戻りする可能性が高いとした。
いま自民党には安倍首相が率いる細田派(96名)、麻生太郎副総理の麻生派(53名)、二階俊博幹事長の二階派(47名)、そして岸田文雄の「宏池会」(46名)の4大派閥があるが、これらどれかの派閥の支持がないと、自民党総裁候補の勝ち目はほとんどない。
しかし誰が勝ったとしても、派閥を越えた支持がある安倍首相以外の自民党総裁は、内閣や派閥の調整に苦労することになるだろう。調整に手こずり、毎年首相が交替する可能性もある。
また、一部の自民党関係者が示唆するように、自民党が衆議院で絶対多数を失った場合、与党は公明党に頼って保守連合の多数派を形成することになる。
公明党の反核・反武力紛争の考え方は、台湾や米国との戦略的協力や、中国の海洋進出や台湾への物理的な安全保障上の脅威を回避するための日本の軍事的改革に対する姿勢を軟化させる可能性がある。
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