「政局が大嫌い」だからこそ見える、自民党総裁選で注目すべき2点

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党員党友でなければ1票を投じることはできず、あくまで自民党内の権力争いにすぎない自民党総裁選。それでもメディアが連日取り上げるのは、実質的に次の内閣総理大臣を決める争いでもあるから。となれば、以前政局絡みの記事で「政局は大嫌い」と表明した論客も注目せざるを得ないようです。メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんは、選挙後の嘘っぽい「ノーサイド」を楽しむ以外にも、各候補者が安倍政権と菅政権の暗部とコロナ禍での国会軽視をどう考えているか、その2点に注目すべきと伝えています。

総裁選のこと

自民党総裁選が始まっている。無責任なことを言うようだがこれはどうでもいい。自分が党員でも党友でもないからだ。とは言いながらも一方で次の内閣総理大臣を選ぶ選挙でもある。こう思えばさすがにどうでもいいとは言い難いのではあるが、やっぱり関わりようがないことに変わりはない。この辺は議院内閣制、政党政治の面白いところでもあり、もどかしいところでもある。

言うまでもなく、自民党総裁選は通常の国政選挙などと違って公職選挙法下で行われるものではない。党内規に則って行われるものである。故に極端な報道規制もなく、我々(部外者)にしてみれば国内最高クラスの権力闘争のドラマをリアルタイムで見ることができる特大イベントとも言えるのである。

口から出まかせの政策(決して公約ではない)も面白い。如何にもテレビ映りを意識したパフォーマンスも面白い。そして何より選挙後の形ばかりの「ノーサイド」が一番面白い。

ここまで物書きにあるまじき無責任な言辞ばかり並べて来たが、一応傍観者としてでも二点だけ注目しているところがある。一つは前政権と前々政権の暗部に踏み込めるかどうか、である。特に安倍政権はその権力にうるさいくらい物を言わせてヤバいことは悉く闇に葬って来た。森友、加計、桜から政府上級職の人事に至るまでである。中には自殺者が出ている案件まである。放っておいていい筈がない。

もう一つは国会運営についてである。前政権も前々政権もコロナという有事にありながら徹底して国会を開こうとはしなかった。これは言い換えれば少数派意見の封殺と同じ所業である。そもそも民主主義においては畢竟多数決で物事は決まる。つまり多数派与党の法案は原則的には必ず可決されることになる。それでも国会(委員会も含む)で議論の場が設けられているのは少数意見に耳を傾けることこそが民主主義の本質であるからである。基本、少数派の意見は弱者の意見に近い傾向にあるから、こういう時代には特に大事なことである。

「到底賛成はできないが、成程そういう考えもあるか。考慮に入れた方がいいかもな」こんなふうに考えてみることこそが多数派与党の責務なのである。これを一切しなかった、前政権、前々政権をはっきり批判できるかどうか、注目したいところである。

前言の繰り返しにはなってしまうけれど、自分は総裁選に関して部外者であることには変わりはない。しかし岡目八目という言葉があるように、無責任な立場にあればこそ見えて来ることもある。加えてこの選挙には次の総選挙に向けての予備選挙的な側面もある。我々、自民党関係者以外の国民は、ソファーに寝っ転がったままでも、ビール片手でも、文句を言いながらでも構わないからしっかり「傍観者」としての「務め」を果たしたいものである。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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