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中国恒大危機に青ざめる日本企業トップ3は?習近平の「富裕層叩き」で大打撃=栫井駿介

中国の恒大集団という会社が経営破綻の危機に瀕しているということで、市場では話題になっています。これがもし破綻してしまうようなことになると、中国市場における不動産バブルの崩壊、中国における景気の後退ということが懸念されます。今回は日本企業でそれらの影響を直接的に受けそうな企業というのを、ピックアップして紹介しておきたいと思います。すぐにそのリスクが現れるというわけではありませんが、将来的に懸念が残るという状況ですので、チェックしておくと、頭の整理がしやすいのではないかと思います。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

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プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

“お金持ち叩き”で民衆を味方に付けたい習近平

恒大集団が倒産してしまうようなことになったら、どういった影響があるのでしょうか。

まず、そもそもこの中国の恒大集団という不動産会社ですけれども、これが倒産の危機に瀕しているのは、必ずしも自発的に不動産事業が悪化したとか、経営が無理をしたからということではありません。

これは「官製倒産」で、中国の政府が不動産業界に対する引き締めを強めた結果、銀行が不動産に融資を行うことが難しくなってしまって、この恒大集団をはじめとする不動産企業の資金繰りが急に苦しくなってしまったというところがあります。

したがって、これは中国政府によるある種の見せしめ的な部分があるわけです。

これによって、中国経済自体が今現時点で何かおかしな状況になっているというわけではなさそうなんですけれども、倒産することによって見えてくるのは中国政府、とくに習近平国家主席の意図になります。

この習近平国家主席はいま独裁体制を非常に強めていまして、その独裁体制を継続させるためには、民衆の支持を確実に掌握しておくということが不可欠になるわけです。

そのためにやっているのが、この恒大集団前会長のような金持ちで、派手な金遣いをやっていた者を習近平は目の敵にして、彼らを懲らしめることによって、民衆の批判をそちらに向けようとしているわけです。

また同時にいま中国は不動産バブルとなっていますから、それによって家を買えない人たちがどんどん出てきているわけです。

その状況を打破して不動産価格を下げることによって、民衆の支持を得るのと同時に、不動産バブルだということも確かですから、バブルの崩壊による経済の悪化、かつての日本の不動産バブル崩壊のような状況になってしまうのを事前に防ごうとしている節があります。

これがこの恒大危機の主要な論点だと私は考えます。

リーマン・ショックのようにはならない

これが一部ではリーマン・ショックのようになるのではないかと言われているのですが、リーマン・ショックは世界のあらゆる金融機関が、アメリカのサブプライムローンと言われる信用力の低い人のために組成した住宅ローンを、証券化商品としてばら撒かれた事が発端になっています。

今回の恒大集団の負債総額は10兆円と言われているのですが、その大部分は中国国内の富豪ですとか、個人投資家によって払われているものなので、世界全体のリスクは限定的、しかも中国国内に関しても官製倒産というところなので、そのリスクは当然見積もったうえで、大丈夫だろうと計算をしてやっていると思います。

したがって、リーマン・ショックのようになるリスクは限定的だという風に考えます。

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