高経年マンションでも安心。リバースモーゲージで修繕積立金を払う賢い選択

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融資を受けるため担保とした自宅に住み続け、借入人が亡くなった際に持ち家を売却し元本をまとめて返済するリバースモーゲージ。今、注目を集めているこのローンが、高経年マンションの「お金の問題」解決の一助となる可能性があるようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では一級建築士でマンション管理士の廣田信子さんが、集合住宅の修繕積立金をマンション単位のリバースモーゲージで支払うという考え方を紹介。この制度が広がりはマンションの未来に対する意識を変えることにも繋がるとして、管理組合に対して積極的な検討を促しています。

これからが本番、マンションで取り組むリバースモーゲージ

こんにちは!廣田信子です。

マンションで取り組む「リバースモーゲージ融資」が本格化すると、高経年マンションの居住者の意識が変わる…と思っています。

マンションで大規模な大規模修繕工事を行う場合は、お金の問題が発生するケースが少なくありません。

  • 管理組合としてローンで借入れる
  • 区分所有者から一時金を徴収する
  • 修繕積立金の大幅な値上げをする

等が考えられますが、特に高経年マンションでは、なかなか合意形成がうまくいきません。年金暮らしの方が多いマンションでは、月1万円の値上げはなかなか難しいのです。

管理組合として借り入れることでも、いずれ自分たちが修繕積立金として負担すると思えば、消極的になる方もいます。でも、マンションを今後50年持たそうと思えば、この改修工事は不可欠なのです。

といっても、高齢者に、50年先のことまで思いを巡らせてくれ…というのはたいへんなことです。住んでいるマンションが4,000万円の価値があっても、自分の暮らしは、年金の支給額の中でつつましく行っているという例も多いのです。

でも、最近は長生き社会の結果として、自分の住まいを子供たちに残そうと考える人は減ってきています。早くに、子供たちは自分の家を持っているケースがほとんどだからです。だから、自分の生きている間に、資産を自分たちのために豊かに使おうと考える人も増えています。

でも一方、多少の貯金があっても、今後、何かあったら…と考えると、預金には手を付けたくないのが人情です。その暮らしの中で、不便とは感じていない修繕に、大金を支出するために、月1万円の費用が発生するというのは、避けたいと思う心理が働くのも当然です。その心理を無視して管理組合運営を進めるのは、どうしても難しいのです。

そこで、マンションの修繕積立金を自分の持っているマンションの価値からリバースモーゲージで支払う…という考え方が出てきます。

住宅金融支援機構が開始を決めている「毎月の修繕積立金に対する区分所有者向けリバースモーゲージ融資」に対する期待が大きいです。高齢者(年金生活者)が多いマンションにおいて、リバースモーゲージを活用して、将来の修繕積立金に融資を行い、区分所有者の負担軽減になるという制度です。元金は当該区分所有者がお亡くなりになった時に、専有部分の売却等によって返済します。

たとえは月1万円だった修繕積立金を、2倍の2万円にするという案が出ます。1万円でもきつかったのに、2万円なんてとても無理という判断も当然出ます。そこで、リバースモーゲージを利用するのです。20年分の修繕積立金を借り入れるとすると、2万円×12か月×20年=480万円を借り入れることになります。

この制度では、毎月の支払は、利子分の4,000円(金利1.0%の場合)だけでよくなります。2万円が4,000円ですから、心理的な負担感は減ると思います。

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