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岸田政権は日本株の敵か味方か。伸びる企業・低迷する企業トップ10を政策別に解説=栫井駿介

岸田文雄氏が第100代総理大臣に就任しました。これから岸田総理がどのような政策を打ち出すのか。また、それが株式市場、個別の企業の株価にどんな影響を与えるのかについて、投資顧問の目線で解説します。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

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プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

株価は上がらない?岸田首相の構想

自民党総裁選において、岸田さんは公約を掲げていました。一番大きなところで言うと「新自由主義からの転換」。これが岸田氏の最も大きな柱となっています。

そもそも新自由主義とは、小さな政府を志向し、市場経済を重視するというものです。政策としては、規制撤廃や公営企業の民営化を推進するなど、主に小泉政権時代に行われた改革を強く岸田さんが意識していると私の目から見て思えるのが、非正規雇用の増加です。

小泉政権では非正規雇用を増やすような雇用の流動化を促すような政策が行われまして、その結果として特に若い人に関して非正規雇用の割合がどんどん高まっています。

しかし、これは強者と弱者を明確に分ける形となってしまって、格差を生んでいるということから、岸田さんとしてはここに対して新たな一手を打たなければならなかったという風に言っています。

確かに企業が強くなるためには高かった人件費を引き下げて、そして利益を出していくということが必要でした。

それによって株価が上昇したという側面はあるのですけれども、一方で、弱い人を切り捨ててはいけないという自民党の中では左派寄りの政策を掲げていたという風に取ることができます。

したがって、必ずしもすべてが株式市場に取って追い風という政権、少なくとも短期的に見れば株式市場に追い風を吹かせるような政策を取っているわけではないというのは確かです。

株式市場に追い風となるような政策といえば、例えばこの小泉政権時代は民間企業をより強くするような政策が多かったので、株価は間違いなく大きく上昇しました。

また第2次安倍政権では主に金融緩和を用いて、金利を引き下げて、量的緩和を行うことによって、株価を上昇させてきたわけです。

けれども、岸田政権においてはそういった直接的に株価を引き上げるような政策はあまり見られないというのが現状かと思います。

一方で、岸田さんという人物に関しては、誰よりも「人の話を聞く」と、それが自分の強みだという風に言っているぐらいですから、非常にバランス感覚の良い方だという風に言われています。

人柄も良くておかしなことはしない、そういった安心感を株式市場は受け取っているのではないかという風に思います。

それでは、個別の政策について見ていきましょう。

「新しい日本型資本主義」とは

特に経済に関して岸田さんが掲げているのは、新しい日本型資本主義というものです。

上記は岸田文雄さんのホームページからダウンロードすることができるものなのですが、特に私が注目したのが、科学技術立国のところです。投資、研究開発、人材育成など未来への投資を積極的に応援する大胆な税制を実現というところがあります。

これはすなわち、このようなことに対する「減税措置」といったことを期待させる文言となっています。

さらに「デジタル田園都市国家構想」とも書かれています。これは今の政権であります菅政権においても掲げられていて、実際にデジタル庁が発足されました。日本はデジタル化が特に政府とか自治体は非常に遅れているところがあります。ここをようやく推し進めていこうとする流れです。これは今後もずっと続くのではないかと思います。

したがって岸田さんに限らず長期的に追っていくテーマだという風に私は考えております。

この辺はどちらかというと企業にとってプラス材料となる話かと思うのですが、一方で必ずしもプラスではないではないかと思われる側面があります。

それは企業を強くして株価を引き上げてきた新自由主義からの転換という、まさにその点において、株式市場にとっては向かい風となり得る可能性があるものも含まれています。

Next: 投資家はどう受け止めた?ネガティブ・ポジティブの両面を解説

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