贈賄の鶏卵業者に有罪 「国民の信頼害した」―吉川元農水相に現金・東京地裁

2021.10.06
0
by 時事通信


東京地裁が入る裁判所合同庁舎=東京都千代田区

東京地裁が入る裁判所合同庁舎=東京都千代田区

 元農林水産相で元衆院議員の吉川貴盛被告(70)に現金計500万円を渡したなどとして贈賄罪や政治資金規正法違反罪に問われた鶏卵大手「アキタフーズ」(広島県福山市)元代表秋田善祺被告(87)の判決が6日、東京地裁であり、向井香津子裁判長は、「行政への国民の信頼を害した」として懲役1年8月、執行猶予4年(求刑懲役1年8月)を言い渡した。
 向井裁判長は、秋田被告が鶏飼育の国際基準案への反対意見取りまとめや、日本政策金融公庫の業者への融資条件緩和を目的に、吉川被告に「積極的に多額の現金を供与した」と指摘。贈賄の結果、国会議員を交えた陳情会議の開催など前例のない便宜供与が行われており、「農林水産行政や国政に対する国民の信頼を大きく害した」と非難した。
 その上で、業界全体の利益を守ることが目的だったとする秋田被告の説明は「特定の業界利益といった狭い視野に基づく考えだ」と批判。「不正手段を用いた動機にくむべき点はない」とした。
 一方、検察に事件の詳細を自主的に申告し、業界団体などの要職を辞任したことは「真摯(しんし)な反省の念を行動に表したと評価できる」と述べた。
 判決によると、秋田被告は養鶏業界への便宜を図ってもらうなどの目的で、吉川被告が農水相在任中の2018年11月~19年8月、東京都内のホテルや大臣室で3回にわたって計500万円の賄賂を贈った。
 また、吉川被告らの政治資金パーティー券代としてアキタ社が支払った計534万円について、社員ら16人が購入したように偽った。
 収賄罪に問われた吉川被告は、自身の公判で現金受領を認めた上で「政治献金だと受け止めていた」と無罪を主張している。(2021/10/06-11:39)

print

人気のオススメ記事