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ワークマンに異変アリ。株価1年で3割減、土屋CEO「しない経営」が成長持続のカギ、次の一手は?=栫井駿介

取り上げる銘柄はワークマン<7564>です。最近メディアでも持て囃されていますが、株価に関しては、この1年まったく振るわない状況となっています。もうブームは終わってしまったのかということも含めて、ワークマンのビジネスと成長性を分析します。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

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プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

店舗を増やさずに業績を伸ばしてきたワークマン

ワークマンの過去1年の推移を見ますと、下落基調が続いているということになります。

ワークマン<7564> 日足(SBI証券提供)

ワークマン<7564> 日足(SBI証券提供)

1年でマイナス27%ということで、今年買った人はほぼみんな損失になっていという状況です。

ではこれまではどうなっていたのかというと、以下が過去5年の推移です。

ワークマン<7564> 週足(SBI証券提供)

ワークマン<7564> 週足(SBI証券提供)

実はこの5年でかなり大きく上昇してきた銘柄です。

ここにある通り281%ですからおよそ4倍になっています。

ただしピークでは株価1万円ぐらいありましたが、それが今や6,000円ぐらいというところで、ブームが終わってしまったようなチャートを描いています。

ワークマンのブームは本当にもう去ってしまったのでしょうか。

テレビ等で聞いているところではワークマンがワークマン+という新業態を始めて、それまで作業員に対するものを売っていたところが、一般向けのカジュアル分野にし進出した、だから業績が伸びているんだというように見えているかもしれません。

確かに表面的な仕様としてはそうなのですが、もっと深くこの会社を分析すると、なぜそこに行き着いたのかということがよくわかってきます。

もともと作業服や作業用品一本でやってきた会社で、その市場自体はほぼワークマンが独り占めしているような状況でした。

2012年ぐらいまでは売上高は横ばいで、利益もそんなに悪くないという感じでした。

しかし、2012年からじわじわと伸び始めて、そして2019、2020、2021というところで一気に売り上げも2倍近くなるような状況となっています。

ワークマン<7564> 業績(SBI証券提供)

ワークマン<7564> 業績(SBI証券提供)

こういった急成長の企業というのは、多くはこの間にどんどん新しい店舗を出店して店舗数を増やすことで業績を拡大しているのですが、ワークマンは実は店舗数としては増えてはいるのですが、劇的に増えているわけではありません。

むしろ店舗はすでにたくさんあった会社です。ここが大きなポイントです。

店舗をどんどん増やして拡大する企業というのは、どこかで無理がくるものです。

例えば最近の事例でいうと、いきなりステーキのペッパーフードサービスです。これは、一気に店舗を拡大しすぎたが故に、借金やその他の負債が嵩んでしまって、なおかつ店舗運営に上手くいかない、競争もどんどん増えていくということで、業績拡大したかと思ったら、今や倒産するのではないかというほどの風前の灯になってしまいました。

その点、ワークマンはすでにもう盤石な作業服という基盤を築いていて、店舗も増やさずにこれだけ業績を伸ばしてきたというところは、他の急成長企業とは大きく違うところになっています。

Next: 三井物産出身・土屋CEOの「エクセル経営」「しない経営」で躍進

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