電車の運転士になる夢を絶たれたパン職人の店が「鉄ちゃんの聖地」になった話

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小さなころからの夢は一度絶たれたけれど、違う形で同じ夢を持つ人たちの「聖地」となる場所を作り上げたパン職人さんがいるそうです。 今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、とあるパン屋さんのマーケティング方法を紹介。自分の趣味を押し出して、同じ趣味のお客さんを掴むという、とても夢のあるお話です。

鉄道マンを夢見た少年は、「電車パン」を作る職人になった!

電車の運転手になりたい。少年の頃、そんな夢を持った人はたくさんいます。京都府宇治市のパン屋さん「ぶんぶん」の店主もそのひとり。

父親が国鉄職員、兄がJR職員という家庭で育った店主は、子どもの頃から電車の運転手に憧れていました。しかし、当時は「目が悪いと電車の運転手になれない」という規定があり、進路を考え始めていた中学生の時に、断念せざるを得ないことに。

悩んだ末に、少年だった店主は頭を切り変え、パン職人の道を目指すことにしました。夜間高校に通いながら、京都にあるパンの名店で修行。16歳からパン作りや商品企画を学び、32歳で独立。苦労しながらも、地元のパン屋さんとして、人気店へと成長しました。

ある日のこと、お客さまである鉄道会社の運転手さんから、「イベント用に電車のパンを焼いて欲しい」という依頼が舞い込みます。電車の運転手は諦めたものの、鉄道好きであることに変わりはないので、この依頼には大喜び。店主の鉄ちゃん魂に火がついた瞬間です。

大好きな電車をデザインしたパンを作るのですから、気合いが違います。まず、電車を正面から見た車体をパン生地で作り、かぼちゃや抹茶を入れたクッキー生地で部品を。次に、車体に部品をつけ、チョコクリームで縁取りし、石窯オーブンに入れて焼きます。焼けたら、シュガーペーストで白いラインを描きます。

あとは、車体と同じ大きさのパンに、カスタード、イチゴ、チョコレート、抹茶、粒あん、オレンジなどのクリームをのせ、その上に正面の車体をのせて、完成です。

デザインは、いろんな鉄道会社のもので、「空港行き特急電車」や「黄色い新幹線」、「嵐山行き電車」「梅田行き電車」「レトロ電車」など、33種類もあります。お店では、この中から日替わりで5種類を販売しています。お客さまは全国からやって来て、中には、電車の運転手さんもいます。

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