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格差広げる「GoTo」再開を急ぐ自公の矛盾。岸田政権は国民の“不公平感”を払拭できるか?=斎藤満

いよいよ総選挙です。政策面での関心はコロナの感染拡大抑制と併せて、経済の活性化に移りつつあります。与党公明党の選挙公約には新「GoTo」キャンペーンが盛り込まれました。自民党内にもやはり「Go To」再開を目指す声は多くあります。しかし、コロナの感染抑制、分配を重視する岸田政権には、少なくとも2つの壁を乗り越える必要があります。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年10月20日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

「GoTo」再開を急ぐ自公

コロナの新規感染者数が思いのほか減少し、これまでとられてきた感染予防のための諸々の規制が緩和されつつあります。

そして、衆議院選挙が公示され、各党が公約をまとめました。

政策面での関心はコロナの感染拡大抑制と併せて、経済の活性化に移りつつあります。与党公明党の選挙公約には新「GoTo」キャンペーンが盛り込まれました。

岸田総理からも平日の利用促進など、新しい形の「GoTo」を検討するとの発言がありました。

自民党内にはやはり「Go To」再開を目指す声は多く、連立政権の立場を考えれば、早晩、「GoTo」キャンペーンが再開され、観光業、交通網の支援に出る可能性は十分考えられます。

しかし、コロナの感染抑制、分配を重視する岸田政権には、少なくとも2つの壁を乗り越える必要があります。

感染者減少も原因不明。進むべきはアフターコロナかウィズコロナか

まずコロナの扱いです。東京都でも感染者数が急速に減少してきたため、一部に「アフター・コロナ」に目が向いた議論が出ています。「感染者が減ったのだから、次は経済を回すことだ」となります。

しかし、菅政権が倒れた最大の要因はコロナ対策の失政とされ、それを受けて成立した岸田政権だけに、コロナの感染再拡大は致命的になります。

問題は、コロナの感染者数がここまで減った理由がよくわからないことです。

ロシアでは現在、過去最多の感染者を出しています。理由が分からなければ、いつまた感染が拡大するかもわからないわけで、アフター・コロナに舵を切り替えるのも容易ではありません。

コロナに対しては経口治療薬が米国で承認され、日本でも近く承認にむけて調整していると言いますが、その効果が確認されるにはまだ時間が必要です。

コロナへの国民の不安がなくなるまでは、政府としては「ウィズ・コロナ」の姿勢で、感染防止に軸足を置いて政策を組まざるを得ません。

その点、前政権では、安易に「GoTo」に走ったために、昨年末の感染第4波を招いたとの批判が重くのしかかっています。

従って、感染の減少について科学的な説明ができるようになるか、治療薬の普及でインフルエンザ並みの扱いとなるまでは安易に「GoTo」には踏み切れません。

Next: 「GoTo」の不公平。観光・高級ホテル宿泊で楽しむのは富裕層

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