不登校の子供を無理やり学校へ行かせるべきか。現役教師が導き出す答えとは

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不登校の数が過去最大となり、大きな問題となっています。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役小学校教諭の松尾英明さんが、 本田宗一郎さんのお話の中で出てくる発想を不登校の子供たちにあてはめて、この悩ましい問題について語っています。

潰れることの吸収力と柔軟性

Hondaの創業者本田宗一郎氏の話の中で「車が提灯のように潰れることで中の人間を守る」という話がある。

(『本田宗一郎「一日一話」 “独創”に賭ける男の哲学』PHP文庫

外側を頑丈に作ってある外国車との比較としての、自社の車の安全設計についての話である。

「潰れることで衝撃を吸収する」という柔軟性や吸収力が大切ということである。今では技術が大幅に進歩し、エアバッグ他がこの役割を果たしてくれている。

潰れて衝撃を吸収するという発想はとても大切である。そうでないと、中の人間にダメージが直接全ていってしまう。

今、不登校の数が過去最大ということで、問題になっている。不登校は、学校としては悩ましい問題である。

これは、学校という公のものさしで測った時に、大きな問題なのである。

一方で、子どもの視点からすると、不登校は大切な選択手段でもある。登校したくない原因(あるいは家にいたい理由)があって、それを選択している。より大きなダメージを軽減するための選択とも考えられる。

これは、個人のものさしで見て、自分なりの選択をしているともいえる。

無理矢理連れ出すこともできる。しかしそれは、個人のものさしを無視した行為である。

過去にも書いたが、不登校自体に人生としての善悪はない。それが必要な選択ということがある。

社会人だったら、自分の心身を守るために、会社を休むことがあり得る。会社を優先して本人が壊れてしまっては、元も子もない。転職や退職が最善の選択肢ということもある。その会社のために生きるよりも、自分の人生としてやり直せることの方がよほど大切である。

潰れる柔軟性と吸収力は、子ども時代から必要である。一旦外側が潰れても、中の本体が無事であることが大切である。人間でいうならば、何よりも大切なのは、生きる気力の方である。

吸収力や柔軟性をもって、しなやかに生きられる方を目指したい。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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