中ロ、日本取り巻き軍事演習 結束誇示、対米けん制も―津軽、大隅両海峡通過

2021.10.25
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by 時事通信


18日、中国・ロシア両海軍の「合同海上パトロール」で津軽海峡を通過する軍艦(中国国防省ホームページより・時事)

18日、中国・ロシア両海軍の「合同海上パトロール」で津軽海峡を通過する軍艦(中国国防省ホームページより・時事)

  • 19日、中国海軍のフリゲート艦「浜州」の演習で発射した対潜水艦ミサイル(中国国防省ホームページより・時事)

 【北京、モスクワ時事】中国とロシアの海軍が日本を取り巻く海域で共同実施していた軍事演習と「海上パトロール」が23日、東シナ海東部海域で終了した。中国国防省は「他国の領海に進入しなかった。第三国に向けたものではない」と主張しているが、中ロ両軍の結束を誇示して日米をけん制する狙いがありそうだ。
 中国国防省の23日の発表によると、中ロ両軍は17日から初の「海上合同パトロール」を実施し、23日昼に終了した。参加したのは軍艦計10隻と艦載ヘリ6機。ロシア極東ウラジオストク沖から出発し、18日に津軽海峡を通過して太平洋を南下。鹿児島県の大隅半島と種子島の間の大隅海峡を通って東シナ海に抜けた。
 中ロ軍艦がそろって津軽、大隅両海峡を通過するのは初めて。両海峡は中央付近が公海扱いの「国際海峡」で、沿岸から3カイリ(約5.6キロ)以上離れた海域を通れば国際法上の問題はない。中国海軍のフリゲート艦「浜州」は19日に対潜水艦ミサイルの発射訓練も行った。
 ロシア国防省は23日の発表で、「パトロールの一環として初めて津軽海峡を通過した」と明らかにし、一連の演習の目的は「ロシアと中国の旗を掲げ、アジア太平洋地域の平和と安定を維持し、両国の海洋経済活動を守ることだ」と強調。中国国防省も「中ロ新時代の全面的戦略協力パートナーシップを一層発展させ、双方の共同行動能力を高めるのが目的」などと説明した。
 中ロ両海軍はウラジオストク沖の日本海で14~17日に合同軍事演習を実施。ロシア国防省は15日に日本海で米海軍駆逐艦の領海侵犯を阻止したと主張したが、米側は否定した。
 中国は、米英がオーストラリアの原子力潜水艦取得に協力する安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に反発している。プーチン大統領は米CNBCテレビのインタビューで、AUKUSは「明らかに地域の安定を損なう。誰かに対抗するためなら良くない」と同調した。ロシア政府系メディアもAUKUS創設で「中ロ軍事演習の切迫性が増している」とする専門家の見方を紹介した。(2021/10/25-07:03)

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