いよいよ衆議院議員総選挙の投開票が10月31日(日)に行われます。これまでとは状況が異なり、100年に1度の厄災であるコロナ禍にあって、国民がようやく政治の役割・重みに目覚めた中での選挙といえるでしょう。これが日本の政治を変えるきっかけになるかもしれません。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年10月29日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
若者の間に投票への意欲
最近、注目されているのが、ハッシュタグ「選挙に行こう」の動きです。
組織力の強い自民党・公明党は、投票率が低いときに、その組織力が生き、選挙に有利となります。ですから、与党は投票率を非常に気にしています。
これまでも、連休などで人が出かけて、選挙に行きにくい時期を選んだこともあるほどです。
そのなかで与党はハッシュタグ「選挙に行こう」の動きを気にしています。
近年の投票率低下の裏には、若者の関心が薄れ、選挙離れしていることが大きく寄与しています。前回平成29年の衆議院選挙の投票率は53.68%でしたが、20代が33.85%、30代が44.75%と低くなっています。
この若者・無党派層が選挙に関心を持つようになると、与党は苦しくなるとみています。
静岡の参院補選では野党が圧勝
その一端が見えたケースとして、先の参議院補選の静岡のケースです。
もともと自民党地盤の選挙でしたが、結果は立民推薦の山崎氏が約5万票の差をつけて当選しました。しかも、共産党候補に11万票入っているので、与党対野党では60万票対76万票の完敗となりました。
ここでも投票率の上昇がものを言っています。
今回の静岡補選での投票率は45.57%でした。前回の衆議院選挙、県知事選の投票率に比べるとやや低くなっていますが、投票率が低くなりやすい補選同士で比較すると、前回2009年の補選では35.64%だったので、今回はこれを約10%ポイントも上回ったことになります。
これが与党敗北につながったとみられます。
それだけに、今、ハッシュタグ「選挙に行こう」運動が広がると、若者の投票率が上がるとの警戒感が与党内で強まっています。
このため、SNSを使ってこの動きを冷やそうとの動きもあるようです。