【書評】「働かないおじさん」は無能ではない。やる気を起こさせる正しいトリセツ

[1029_shohyou]
 

 昔は「窓際族」などと呼ばれていた、50代で賃金相当の仕事ができない会社員。今でも「働かないおじさん」と名を変えて存在しているようです。今回の無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』では、そんな「働かないおじさん」に向き合う管理職にとって必携の一冊を紹介しています。

「働かないおじさん問題」のトリセツ

51cpP+2sr5L._SX342_BO1,204,203,200_

「働かないおじさん問題」のトリセツ

難波猛 著/アスコム

日本企業では年齢とともに給与が上昇していく場合が多いので、50代になって賃金相当の仕事ができないと「働かないおじさん」「Windows2000」(窓際族で年収2,000万円)と呼ばれているという。

多くの管理職は、ことを荒立てなくても、数年すれば定年になるのですから、「働かないおじさん」に対して多少不満があっても放置しています。管理職としても、自分より年上、先輩の部下にダメ出しをするのは、心理的に抵抗があり、理解できる部分もあります。

ただ、働かないおじさんは、同じ職場で働く若い人のやる気を奪う場合もあり、放置できないケースもあるのです。

ネガティブフィードバック…短期的には恨まれたとしても、中長期的には必ず伝えてあげた方が良い。(p147)

また、会社によっては人事の方針によって働かないおじさんに対して、「早期退職制度」「選択定年制度」「セカンドキャリアサポート」などを用意し、他の会社で活躍してもらうようにしている場合があります。その場合、管理職は「働かないおじさん」に会社として給与相当の実績を出してほしい、さもなければ早期退職制度によって退社してほしいと伝えていくことになります。

著者はコンサルタントとしてそうした会社の管理職をサポートしているのです。

そのやり方は常識的なもので、会社として求めるレベルを明確にし、働かないおじさんと管理職の対話で目標を設定し、おじさんの目標設定を支援するのです。目標達成できればOKだし、達成できなければ、次の職場で頑張ってもらうということです。

音を聴くと「上司の言う理屈も分かる部分はあるが、感情的に受け入れられない。上司の言うとおりに行動することが、上司の手柄になると考えると馬鹿らしくなる」。(p158)

最近はさすがに「追い出し部屋」のようなところに「働かないおじさん」を押し込めて仕事を与えないといったことは難しくなってきて、「働かないおじさん」と正面から向かい合う必要が出てきたのでしょう。

本書でも説明があるとおり、できるだけ「働かないおじさん」が自ら目標を設定し、自分が決めたという形にすることがおじさんのやる気を引き出すようです。一部にはひねくれた人もいると思いますが、役割分担に応じた仕事をしてもらうのがあるべき姿ですから、いわんや組織に悪影響を与えたり、上司の指示に従わない場合には、会社の規程にしたがって社外で活躍していただけばよいのです。

「働かないおじさん」と向き合うことで長期的にはおじさんのため、という著者の言葉に同感です。難波さん、良い本をありがとうございました。

print
いま読まれてます

  • 【書評】「働かないおじさん」は無能ではない。やる気を起こさせる正しいトリセツ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け