軍事アナリストが論破。教訓は「SNSに振り回されてはなりません」

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今年8月、タリバンが制圧したアフガニスタンから大使館やNGOなどに協力していたアフガニスタン人を脱出させようとして失敗した日本政府。この失敗に学ぶべきことについて新聞に寄稿した軍事アナリストの小川和久さんは、SNSで思わぬ反論にあって面食らったようです。今回、主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』の編集後記でその件を取り上げ、改めてなぜアフガニスタン人協力者を一時日本に待避させるべきなのかを解説。反論一つ一つに丁寧な説明を加え、アフガンの現状を伝えています。

軍事の最新情報から危機管理問題までを鋭く斬り込む、軍事アナリスト・小川和久さん主宰のメルマガ『NEWSを疑え!』の詳細はコチラから

 

危険だからアフガンから退避するのに…

10月20日付の毎日新聞政治プレミアに「『決心』できなければ危機管理ではない アフガン待避『出遅れ』の教訓」という原稿を書いたあと、これに対する次のようなツイートを発見しました。

小川和久さんですが、私はよっぽどの事情がない限り、アフガン人を日本へ連れてくるべきではないと思う。アフガンと日本は違いすぎる。中村哲さんなど日本人がアフガンでうまくやっていたのは、日本人がアフガンへ合わせたからで、その中村さんでも殺害されてしまった。

例えば、日本大使館の警護を10年以上していたというアフガン人のインタビューを見たが、日本語が話せず、英語で応答している。では、日本で暮らしていくには、まず、日本語を話すところから始めることになる。これが米国なら話は違う。もともと米国の責任が大きい上に、移民慣れしているが、

英語を話す人は多いから、とりあえずの意志疎通はできる。自立するのも日本よりはるかに容易。タリバンとは日本は敵対しておらず、中国やロシアは大使館員を退避させていない。タリバンも日本と安定した関係を望んでいるわけだから、アフガンにおいて日本の関係者の保護をタリバンに要求する方が良い。

このツイートの主は、一定の見識の持ち主だとかねてから思っていたのですが、今回は少し考えを整理してもらう必要があると思いました。

まず、アフガンから日本の活動に関わったアフガン人を退避させ、日本に入国させるのは「外国への協力者」として身の危険が迫っているという「よほどの事情」があるからです。それに、日本に定住させることを目的としたものではありません。あたかも難民が日本に押し寄せてくるかのように考えるのは間違いです。

JICA(国際協力機構)などの関係組織が「功労者」として、まずは日本国内に安全で落ち着いた環境を提供し、そのうえで行く末を選択してもらうのだと考えるべきなのです。米国に出国することを望む人もいるでしょうし、JICAなどが雇用関係を継続して、日本国内や海外の活動に従事してもらうこともあるでしょう。そういう話なのです。

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