現役社労士が解説。過労死やうつ病を引き起こす、パワハラ防止措置10項目

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過労死やうつ病の原因ともなる職場でのパワーハラスメントが問題視され、大企業ではすでに行われているパワーハラスメント防止措置が、どの規模の会社であっても2022年の4月から義務化されます。そこで、今回の無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では社会保険労務士の飯田弘和さんが、事業主は何をすべきか、講ずべき措置について詳しく解説しています。

パワハラ防止措置の義務化

2022年4月1日から、“パワーハラスメント防止のための措置”を講ずることが、事業主に義務付けられます(大企業ではすでに義務化されています)。

では、具体的には、事業主はいったい、何をすればよいのでしょう?まずは、“パワーハラスメントの防止のために講ずべき措置”として、以下の10項目を実施してください。

1.職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
2.行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
3.相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
4.相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
5.事実関係を迅速かつ正確に確認すること
6.速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
7.事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
8.再発防止に向けた措置を講ずること
9.相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
10.相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

また、パワーハラスメントについて相談を行った者に対して、不利益な取り扱いをしてはいけません。

上記1.~10.の“パワーハラスメントの防止のための措置”を講じなかった場合や“相談を行った者への不利益取扱い”については、行政指導の対象になります。

ちなみに、法律上のパワーハラスメントの定義は、以下の3項目をすべて満たしたものをいいます。

その1:優越的な関係を背景とした言動であって
その2:業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
その3:労働者の就業環境が害される

また、“パワーハラスメントの防止のために講ずべき措置”と同様の措置義務が、セクハラやマタハラについては、既に事業主に義務付けられています。まだ措置を講じていないのであれば、“パワーハラスメントの防止のための措置”だけでなく、“セクハラ防止措置”や“マタハラ防止措置”も併せて整備するようにしてください。

また、就業規則の整備や変更も、一部必要になるかもしれません。特に、上記1.2.3.4.10.などは、就業規則に定めておくか、または、別途、規定を作って従業員に周知しておきましょう。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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