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生活保護でパチンコに行く人を責めるな。問題はギャンブル依存症を生むパチンコ業界と放置する日本=鈴木傾城

パチンコという産業がギャンブル依存者を生み出して、生活保護費を吸い上げているのであれば、これは「日本に必要なのか?」としっかり考える必要がある。控えめに見てもパチンコ産業はギャンブル依存症を生み出す元凶である。こうした業界を何とかするのは国の仕事だ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

もらった生活保護受給の金を握りしめてパチンコに走る姿

新著『どん底に落ちた養分たち』(刊:集広舎)の執筆のために、2020年の後半はずっとパチンコ関連の取材をしていたのだが、そこで私は今もパチンコ依存者が大勢いるということを実感した。

大阪の西成は今や山谷を抜いて日本最大のドヤ街となっているのだが、ここでも相変わらず生活保護受給者が受給日になったら、もらった金を握りしめてパチンコホールに走る姿があった。

働かないで金をもらった人間がギャンブルに金を注ぎ込む。その姿は異様だ。

「生活保護でパチンコ」という問題はずっと批判されながらも、実は今も続いていることに問題の根深さを私は感じた。

「生活保護者はパチンコ禁止と法律で定められていないのだから別にいいではないか」と開き直る人もいる。しかし、法律で禁止されていないから何をしてもいいというわけではない。

そういう光景を見ると、世間が「我々の税金はパチンコ狂いの人間たちをただ飯食わせて遊ばせるためにあるものじゃない」と怒るのは当然の話でもある。

しかし、生活保護受給者のすべてがギャンブル狂なのかと言えば、まったくそうではない。

働けない高齢者の家庭、身体障害を持った人、シングルマザーで働けない母親など、本当に生活保護が命綱になっている人がたくさんいる。

彼らは生活保護を受けることによって、日本で餓死したり絶望の自殺に追い込まれないで生きていける。それは日本国憲法第25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」で謳われた権利なのである。これは奪ってはいけない。

責めるべきはパチンコ業界

誰でも病気にもなれば、怪我もすれば、子どもを抱えて生活に困ることもある。いろんな事情で貯金ができないこともある。金を失うこともある。あるいは、何も持たないで歳を取ることもある。

つまり、誰でも弱者になる可能性がある。

現代社会はどんどん弱肉強食の資本主義に向かっており、富める者はますます富み、貧困層は持っているものまで奪われる時代になっている。今は生活できても、人生は何が起きるか分からない。

仮に自分が一時的にでも弱者になったとき、生活保護というシステムがあれば救われる。極度に絶望しなくてもいい。一時的に不遇を囲うことになっても、立ち直る余地はある。これは、とても素晴らしいことである。

日本人は、弱者を生活保護で守っていることを誇るべきなのである。生活保護は、もし万一、自分や家族が弱者になったとき、自分や家族を助けてくれる国の制度なのだ。

だから、生活保護をパチンコに費やす人間がいるからと言って「生活保護をなくせ」というのは、責めるべき方向性が違っている。

責めるべきは、パチンコ業界なのだ。

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