単独で絶対安定多数を確保したものの、現役幹事長の甘利明氏や省庁改革の目玉「デジタル庁」の初代担当大臣を努めた平井卓也氏など、大物議員の選挙区での敗北に衝撃が走った自民党。なぜ彼らはこのような「憂き目」を見ることになってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、甘利・平井両氏の演説等を引きつつその敗因を徹底分析。さらに平井氏を香川一区で破った立憲民主党の小川淳也氏の選挙戦を紹介するとともに、その勝利は立民の将来にとっても大きな意味を持つとの見解を記しています。
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甘利と平井、兄弟分そろって選挙区落選のワケ
終わってみれば、自民党が単独で絶対安定多数を確保していた。日本維新の会が躍進し、立憲民主党は完敗だ。
だが、選挙戦の総大将として、勝利の美酒に酔っているはずの自民党幹事長、甘利明氏は自身の選挙区で敗れ、皮肉なことに結果判明直後、岸田首相に辞任を申し出る異常事態となった。比例復活したものの、自民党幹事長が選挙に負けるとは、かつてないことである。
岸田首相は間髪を入れず、安倍元首相に近い茂木敏充外相を幹事長に起用することを決めたが、甘利氏を幹事長にした責任は免れない。大臣室で現金100万円を受け取ったことをめぐる斡旋利得疑惑に関し、何ら説明責任を果たしていない。その人物を、いかに総裁選の勝利に貢献してくれたとはいえ、政権与党の屋台骨に据えたのである。
周知の通り、安倍晋三、麻生太郎両氏と「3A」と呼ばれる同盟関係を維持してきた甘利氏は、彼らの威光を背景に岸田政権を実質的に支配する野心を抱いていたに違いない。
それを承知のうえ岸田首相は、総裁選で「2A」との間をつないで軍師役をつとめた甘利氏を、引き続き政権維持のための命綱として頼りにした。世間で甘利氏の幹事長就任に違和感が広がっていたのを軽く見ていたといえる。
そのまま突入した総選挙。甘利氏は幹事長として候補者を支援、激励、鼓舞すべく各地をめぐった。
読売新聞10月21日付け朝刊は、神奈川13区で甘利氏と対立候補の立憲新人、太栄志氏が接戦だと報じた。それでも、甘利氏は同日、以下のように余裕のツイートをしていた。
本日は地元選挙区での決起大会でした。選挙期間中地元に入れるのは今日の2時間だけ。よってタスキをかけるのもこの2時間だけ。コスパの悪い選挙備品だね。でもその分、同志の応援に全国を走り抜けます。 pic.twitter.com/KF0ycYyvGo
— 甘利 明 (@Akira_Amari) October 21, 2021
本日は地元選挙区での決起大会でした。選挙期間中地元に入れるのは今日の2時間だけ。よってタスキをかけるのもこの2時間だけ。コスパの悪い選挙備品だね。でもその分、同志の応援に全国を走り抜けます。
だが、全国を走っているうちに、自らの選挙区は暴風雨に見舞われていた。党の調査で、太栄志候補にリードされているらしいことが判明したのだ。「私がいなくなれば、岸田政権はつぶれる」。移動する車の中でテレビの記者にそう口走るほど、甘利氏はゆとりを失っていた。
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