余剰マスク「売却、譲与を」 持続化給付金、再委託見直して―コロナ決算・検査院

2021.11.05
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by 時事通信


全世帯配布のため政府が調達した布マスクと同封のメッセージ=2020年4月

全世帯配布のため政府が調達した布マスクと同封のメッセージ=2020年4月

 2020年度決算検査報告書には、新型コロナウイルス対策として多額の国費が投じられた布マスク配布や持続化給付金、「Go To トラベル」などの事業に対する検査結果も盛り込まれた。
 感染拡大当初、マスク不足解消のため全世帯や介護施設などに配布された布マスク。厚生労働省が調達した2億8741万枚のうち、約3割に当たる8272万枚(115億円相当)が余剰分として保管され、日本郵便などに保管費として6億円を支払っていた。検査院は「保管費用を節減しつつ、売却や譲与なども考慮に入れた対応を検討すべきだ」との見解を示した。
 中小企業や個人事業主に総額5兆5000億円が支払われた持続化給付金では、中小企業庁から668億円で委託を受けた一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が、641億円で電通に再委託していた。再委託は最大9次請まで繰り返され、延べ723社が参加したという。
 検査院は「再委託費率が大幅に高くなる場合は妥当性を十分に検証し、国が管理できる範囲の参加者に主要な業務を実施させるべきだ」と注文を付けた。
 昨年末の感染再拡大で一時停止された観光支援事業「Go To トラベル」。キャンセル料の補填(ほてん)として旅行業者に1157億円が支払われたが、宿泊や交通など関係事業者間で公平に配分されたかについて、観光庁は全く把握していなかった。検査院は「配分の事務費として115億円支払っており、適切に配分されたか検証すべきだ」とした。
 厚労省は「有効活用の方法を工夫したい」、中小企業庁は「新しい会計ルールに沿い適正な契約をしていく」、観光庁は「配分について調査していきたい」とそれぞれコメントした。(2021/11/05-14:38)

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