自民党が議席を減らしながらも単独で絶対安定多数を維持し、政権交代を訴え共産党と選挙協力をした立憲民主党は109から96に議席を減らした衆院選。選挙の現場では、各紙の事前予想がバラバラで情勢の把握が難しかったようです。今回のメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』では、北海道11区で2期連続の当選を果たした石川香織議員の夫で元衆議院議員の石川知裕さんが、選挙情勢を探る世論調査の方法の問題点を指摘。2012年から自公が4連勝となった選挙結果については、与党に不満はあっても任せられる野党がないということと分析しています。
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難しい「野党共闘の評価」/各紙の世論調査結果がバラバラだった理由
第49回衆議院議員総選挙は、自民党が過半数を超えて絶対安定多数を獲得する結果となり、岸田政権は国民から支持を得た形になった。対する立憲民主党は公示前から14議席も減らす惨敗。同じ野党でも日本維新の会は公示前から30議席も増やす大躍進となり、明暗が分かれた。
しかし、事前の予想では自民党への逆風が予想されていた。投票日の朝、私のところに一通のラインが入った。共同通信などによると自民党が単独過半数である233議席割れもあり得るとし、甘利明幹事長も落選し、党内政局になるという内容だった。実際に他の永田町関係者からも同様の連絡が入っていた。まさか立憲民主党が惨敗し代表、幹事長まで辞任せざるを得ない展開になるとは思ってもいなかった……。
今回の選挙では、世論調査の結果が会社によって大きく違う点が気になっていた。北海道11区は、全紙で私たちが優勢か一歩リードとなっていたが、北海道でも選挙区によっては新聞によって評価が全く違うのでどの陣営も戸惑っていた。
なぜこのようなことになったのか分析はされていない。しかし、一つの原因は固定電話による世論調査では全体を把握できなくなってきたということであろう。固定電話はどうしても高齢者層に偏るので、高齢者の支持が強い政党に強く出てしまう結果となる。若年層の動向がつかみにくくなるからである。
さて、この選挙結果を受け、共産党との野党共闘路線をどう評価するか。とても難しい。結果として保守票が維新に流れたことは言うまでもない。そしてリベラル票はれいわ新選組に流れており、立憲民主党の比例票は横ばいとなった。
では共産党との野党共闘は失敗だったのか。共産党が立候補をとりさげていただいたおかげで、与野党一騎打ちの構図となり、全国で善戦できたところも多い。
私どもの北海道11区でも、小選挙区で石川かおりが2連勝できたのは一騎打ちの構図を作ることができたことが大きい。一方で選挙区では1万票も減らす結果となった。鈴木宗男参議院議員が中川郁子さんに完全に舵を切った影響はあるが、保守票が逃げたのも原因の一つと言える。比例票が全く伸びていないからである。国民民主党が善戦したこと、維新が躍進したことを捉えると中間層を立憲民主党が引き付けられなかったことははっきりしている。
野党4党による政策協定で、立憲の政策が左に寄りになっていることは指摘されていた。かつての民主党は都市部で善戦していた。都市部のサラリーパーソン層は民主党支持者が多かった。それは政治を新しくすることで公平な分配を期待していたからと分析できる。そこには富裕層も低所得者層も関係なく公平な政治を期待していた人から支持を得ていたとも思える。国民民主党が野党4党の枠組みからの離脱を表明したことで、こうした層はますます立憲から離れることが懸念される。
今回の衆院選で野党は4連敗となった。2012年、2014年、2017年、2021年とどうしても反転攻勢ができない。自民党の政治が良いと思っていなくても、任せるに足るところまで野党は至っていない、というのが国民の気持ちだろう。特別国会が終わって立憲民主党は代表選挙となる。新たな政策で枠組み作りを考えていかなければならない。
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