退職しても繋がっていたい。『源氏パイ』の三立製菓が従業員に愛されるワケ

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あなたは自分の会社に“感謝”していますか?この質問に力いっぱい「はい!」と答えられる人はあまり多くないかもしれません。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんがある閉店してしまったお菓子屋さん紹介。そこには退社してしまったある企業との素敵な物語が隠れていました。

源氏パイ、チョコバット、かにぱん…「三立製菓」の元従業員が菓子店を開業した理由

2019年4月。東京のあるお菓子屋さんが閉店しました。店頭には、「店主高齢の為……」と書かれた貼り紙が。小堀チエさん、当時99歳。「三立亀有」という名のお店です。

このお店のことをぜひ知っておいて欲しいので、ご紹介します。

あなたは、「三立製菓」をご存知でしょうか。その名を聞いて、どんな商品を作っている会社なのかが、すぐに思い出せる人は少ないでしょう。しかし、商品名を言うと、誰もが確かに知っている会社です。

「カンパン」「源氏パイ」「チョコバット」「かにぱん」。

昔から馴染みがあるでしょう。

企業イメージとしては、やや地味かもしれませんが、昔から多くの人が親しみを感じているのは間違いありません。

そんな会社に惚れ込み、自ら「三立製菓」の商品専門とも言えるお菓子屋さんを開業した人が小堀チエさんなのです。1949(昭和24)年に開業し、2019年までの70年間、ご本人が営業を続けていました。

店名の「三立亀有」から、間違いなく、“三立ファン”であることがわかります。なぜ、それほどまで「三立製菓」にこだわるのでしょうか。

事の始まりは、第二次大戦中です。小堀さんは、戦時中に10年間、「三立製菓」に勤めていました。人を雇えるような状況ではない時代に、小堀さんの生活を支えてくれたのです。

自分のことをずっと雇ってくれていたことに、小堀さんは感謝していました。退職後もその思いは強く、恩返しのつもりで「三立製菓」のお菓子を売るお店を開業したのです。

そこまで従業員に感謝される会社が、いまの時代にあるでしょうか。中小企業ではあっても、大手では皆無ではないでしょうか。

雇ってくれたことだけではないでしょう。働きやすく、楽しい職場だったのでしょう。やりがいもあり、居心地も良かったのでしょう。そうでなければ、退職後もその会社の商品を売りたいとまでは思わないはずです。

会社への感謝もあり、商品への愛着が生まれるのも当然です。その感謝の気持ちが、商品販売のお手伝いなのです。

従業員を大切にした会社。その会社に恩を感じ、愛し続けた女性。この素晴らしい物語を心に刻んで欲しいと思います。

会社は従業員を大切にしなければならない、ということを教えてくれる、最高のエピソードではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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