素人でも分かる「生ける伝説」ヴァレンティーノ・ロッシのモノ凄さ

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松坂大輔、阿部勇樹、別府史之など、冬にシーズンオフを迎えるスポーツでは、今年も多くのレジェンド級の日本人選手が現役生活に別れを告げています。それは海外に目を向けても同じで、先日、イタリア人MotoGPライダーのヴァレンティーノ・ロッシが26年という信じられないほど長い現役生活を終えました。日本では全く知らないという人も多いこの稀代のライダーの凄さを誰にでもわかりやすく伝えてくれるのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さん。ケガからの脅威的復帰など、記憶にしっかりと刻まれたエピソードを紹介し、惜しみない賛辞を送っています。

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Valeのこと

ヴァレンティーノ・ロッシが引退した。日本においてこの人ほどその知名度が両極端に分かれるスポーツ選手はいないのではないだろうか。それこそ知っている人には「当然」の存在であり、知らない人には「全然」といった存在である。本稿は彼の業績を(と言っても紙面の都合上、僅かばかりにはなるが)称えるものである。

ヴァレンティーノ・ロッシはイタリアのMotoGPライダーである。MotoGPとは二輪ロードレース世界選手権のことであり、オートバイで行うレースの最高峰である。ポジションとしては、ちょうど四輪のF1に当たる。参戦選手は毎年20人前後であり、この20人こそが二輪モータースポーツ界に君臨するトップ20と言ってまず問題はなかろう。因みに2021年現在、日本人選手は1名である。

こういったレジェンドクラスのスポーツ選手を語る時、どうしても記録の羅列になってしまいがちになる。今回はそういった詳しい数字の類は専門誌等の記事に任せるとして、自分のような素人でも十分に理解できた彼のすごさをただただ記憶を頼りに一つ二つ語ってみようと思うのである。でたらめな思い出の整理のような感じである。

まず驚くべきは、その現役期間の長さである。世界選手権への参戦開始が1996年、引退した今年が2021年だから、足掛けで26年ということになる(うち最高峰クラスが22年)。これが危険を伴わないスポーツならまだ分かるが、最高時速350km超の世界である。時速350kmと言えば秒速にしてほぼ100mである。そういった、生身の人間にとって苛烈としか言いようのない環境下にあって、26年の長きに亘ってモチベーションを保ち続けることができたという事実そのものが既に常人の想像を遥かに越える。

それにそれだけの間現役でいられたということは大きな怪我をしなかったということでもある。加齢による動体視力や反射能力の衰えには抗す術はないからそれを補って余りあるほどの予測能力や修正能力が備わっていたということである。このような危機回避能力はどうやら強いライダーの必須条件とでも言うべきものであるらしく、現役最強のマルク・マルケス選手もまるで曲乗りのようなライディングでクラッシュを何度も免れている。そのマルケスでさえ怪我で直近の2年は棒に振る結果となっている。

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