18歳以下への10万円給付に事務経費が1,200億円もかかることが判明して批判が殺到しています。クーポンにこだわっているのは誰か。なぜ高校生は自己申告が必要なのか。いつもの裏事情がありそうです。(『今市的視点 IMAICHI POV』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2021年11月28日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
バラマキ事務コスト1200億円。なぜクーポンにこだわる?
貧困対策なのか、経済対策なのか。よくわからないまま、18歳以下の子どもへの10万円相当の給付が決定しました。
巷の評判は最悪で、とくにクーポンの支給に1,200億円もの事務費用がかかることを財務省が公表したことから、この組み合わせに非常に強い批判が出はじめています。
また、中学生以下への支給はすでにある児童手当の仕組みを使うとしていますが、高校生以上はあえて自己申請方式を採用するとのこと。
あえて手間がかかるような仕組みを導入しており、それだけでも事務手数料は300億になるようです。
さらにクーポン導入で900億円の追加コストがかかるというわけですから、多くの国民が怒り出すのも無理はない状況。
現金を配るとなると、対象が子どものみでも全国民でも毎回大きな事務コストがかかることになりますが、さらにそこにクーポンを導入するというのは、いったい誰がこだわっているのでしょうか。
おおむね2つの事象が浮かび上がることになります。
財務省が猛烈に反対している?
まず1つ考えられるのは、財務省による現金バラマキに対する強い抵抗感です。
安倍政権下でコロナ対策から10万円支給をする際にも、麻生前財務大臣はしきりに、「結局、貯金してしまうので経済効果が薄い」という主旨の発言を繰り返し、財務省の味方をしていたのは記憶に新しいところです。
しかも、今年7月に一橋大学出身者として初の財務省事務次官に就任した矢野康治氏は、文芸春秋に麻生氏の事前許可を取る形で「バラマキ政策批判」を投稿し、鮮明にこうしたカネのバラマキに抵抗する姿勢をとっています。
経産省官僚のお付きがいなくなった岸田政権は、かなり財務省の言うことを聞かざるを得なくなっている様子。現金全額ではなくクーポンとの抱き合わせを強く進言したのは財務省なのかも知れません。