『イカゲーム』販売で銃殺刑の異常事態。金正恩が海外文化に過剰反応するワケ

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9月17日に全世界公開されるや1ヶ月足らずで視聴者数が1億人を超え、Netflix史上最大のヒット作となった韓国ドラマ『イカゲーム』。しかし北朝鮮では、そんなドラマを視聴することすら命懸けのようです。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんが、『イカゲーム』の違法ソフトを売った人間と購入者、それを観た若者たちそれぞれに科された過酷な罰を紹介。さらに金正恩総書記が“たかが”映画・音楽の類に過剰反応する理由を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2021年12月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:宮塚利雄みやつか・としお
宮塚コリア研究所代表。韓国・慶熙大学校碩士課程、檀国大学校博士課程修了。山梨学院大学教授(1992~2015年)。主な著書に『北朝鮮・驚愕の教科書』(宮塚寿美子と共著)、『北朝鮮観光』「がんばるぞ!北朝鮮』『アリランの誕生』『日本焼肉物語』『パチンコ学講座』、そのほか翻訳本多数あり。

【緊急告知・LIVE配信のお知らせ】

 

宮塚コリア研究所・代表、宮塚利雄さんが「第15回宮塚コリア研究所講演会」の模様をメルマガ読者向けにライブ配信を行います。本ライブ配信は二部構成となり、計4人の講演を予定しています。第一部は、ジャーナリスト・五味洋治さんによる「金正恩の健康と与正の出世から読み解く北朝鮮」、第二部では、宮塚利雄さんによる「朝鮮半島上空を乱舞した紙爆弾(ビラ)」をはじめ、複数の講演を配信予定です。

 

テーマ:「金正恩の健康と与正の出世から読み解く北朝鮮」など
日時:2021/12/18(土)14:00開始予定

 

視聴はこちらから。

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北朝鮮で『イカゲーム』販売の男に銃殺刑。「共産主義国は思想と文化で体制維持を図る」はすでに死語

北朝鮮は「マスコミより口コミ、タレコミ」の国である。

国営のマスコミである新聞・放送・テレビは、独裁者金王朝賞賛のニュースの垂れ流しであるが、「モノ言えば唇寒し」の国だけあって、口コミには信ぴょう性があり、命懸けであり、うわさはすぐに拡散する。

米動画配信大手のネットフリックスの韓国ドラマ『イカゲーム』を違法にコピーし、販売したとして北朝鮮の男が銃殺刑の判決を受けていたことが明らかになった。米国政府系の「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」によると、USBメモリーを購入した高校生が終身刑、視聴した友人らは重労働刑を科されたという。

『イカゲーム』は、ゲームの参加者のうち勝者が大金を手にする一方で、敗者は殺されるという「ディストピア(暗黒郷)ドラマ」で、9月の配信開始後、100か国近くで視聴され、空前の大ヒットを記録している。

北朝鮮対外宣伝メディア「メアリ(こだま)」は、10月に早くも『イカゲーム』を「弱肉強食、腐敗が台頭し、悪がはびこる韓国社会の現実を露呈した」と批判していたが、中国経由で中朝国境から入ってきたイカゲームの違法コピーのソフトを販売することは十二分に予想され、北朝鮮政府も警戒していたはずだ。

北朝鮮の金正恩総書記は、韓国のポピュラー音楽、K-POPを「悪質ながん」と呼ぶなど、外国の映画、音楽の流入に警戒を強めている。独裁者金正恩が“たかが”「映画・音楽の類」に驚愕するのは、これら外国の音楽、映画(特にポルノまがいのもの)が、金王朝転覆の引き金になるかもしれないということを危惧しているからに他ならない。

北朝鮮は昨年末、米韓など資本主義国からの「反動的思想・文化」の販売、視聴に死刑を科すことを可能にする「反動的思想・文化排除法」を制定、国外の映像、音楽などを排除する姿勢を強めており、同法が適用されるのは、これが初めてとなる。

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