起訴取り消し、1130万円補償へ 「無罪受けるべき理由」―東京地裁

2021.12.09
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by 時事通信


記者会見する「大川原化工機」の大川原正明社長=8月2日、東京都千代田区

記者会見する「大川原化工機」の大川原正明社長=8月2日、東京都千代田区

 生物兵器製造に転用可能な噴霧乾燥機を不正輸出したとして外為法違反罪などで起訴され、その後起訴を取り消された化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の大川原正明社長(72)らによる刑事補償請求で、東京地裁が長期の勾留に対し計1130万円の支払いを決定したことが9日、同社長らの代理人弁護士への取材で分かった。
 決定は7日付。平出喜一裁判長は「起訴事実が審理されれば、無罪判決を受けるべき十分な理由がある」と判断したという。
 大川原社長と元役員の島田順司さん(68)は昨年3月に警視庁に逮捕され、起訴後も勾留が継続。今年2月に保釈されるまで332日間にわたり身柄拘束された。同様に逮捕、起訴された元顧問の男性は胃がんが判明し、昨年11月に勾留停止となるまで240日間拘束された。元顧問はその後、死亡した。
 地裁は刑事補償法上の上限である1日1万2500円の支払いを決定。大川原社長と島田さんがそれぞれ415万円、元顧問は300万円となる。
 東京地検は今年7月、兵器転用可能な技術か疑義が生じたとして、起訴を取り消した。大川原社長らは9月に刑事補償を請求していた。
 代理人の高田剛弁護士は「刑事補償の決定は想定されていたが、裁判所の公的な書類に晴れて無罪と書かれ、社長は喜ばしいと受け止めている」と説明した。(2021/12/09-11:18)

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