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建設受注を二重計上で過大に…国の基幹統計でまたも“偽装”。実感なき「アベノミクス景気」は改ざんデータが作り出した幻想だった

国の基幹統計のひとつであり、建設業の受注実態を表す「建設工事受注動態統計」において、長年に渡りデータの書き換えが行われていたことが判明。政府が実態よりも過大に統計を“偽装”していた可能性があるとして、大きな騒ぎとなっている。

報道によると書き換えられていたのは、全国の建設業者が受注実績を毎月記し、都道府県が回収していた調査票。国土交通省は各都道府県の担当者に対して、実際よりもデータを過大に書き換えさせるように指示していたほか、同じ業者の受注実績を二重に計上することも行っていたという。

この二重計上に関しては2013年度から始められたといい、データの書き換えに関しては今年3月まで続いていたとのこと。国交省の担当者は取材に対し、統計が過大になっていたことを認めたものの、書き換えそのものを始めた正確な時期や、その理由については「かなり以前からなので追えていない」と回答。さらに、他の経済指標への影響に関しては「わからない」と発言しているという。

過去にもあった統計偽装

15日午前に開かれた衆院予算委員会では、さっそくこの報道に関しての質問が飛び、岸田首相は報道内容を事実だと認めたうえで「大変遺憾なことであり、二度とこうしたことが起こらないよう再発防止に努めなければならない」とコメント。ただ、今回の件の詳しい経緯や責任の所在を追及するための第三者委員会の立ち上げに関しては、明確な回答を避けている。

今回、データ書き換えが明らかになった「建設工事受注動態統計」は、国内総生産(GDP)の算出に使われるうえに、月例経済報告や中小企業支援などの基礎資料にも利用されるもの。不正確な統計をもとにして、経済政策が決められていたとなれば、これはかなり由々しき問題といえそうだ。

しかし、政府による統計偽装の判明はこれがはじめてではなく、2019年には働く人の賃金や労働時間などを調べる「毎月勤労統計」に関して、厚生労働省が賃金の調査結果をかさ上げする「データ修正」を密かに行うなど、不適切な手法で統計調査が行われていたことが発覚

2019年といえば、消費税率が2年半の先送り期間を経て8%から10%へと引き上げられた年だが、当時の安倍政権はこれらの偽装された統計を「景気回復」の根拠とし、増税を正当化していたこともあって、発覚の際には批判の声が渦巻く格好となった。

符合する第二次安倍政権と統計偽装の期間

さて、今回明るみとなった「建設工事受注動態統計」における偽装だが、ネット上ではこれもまた安倍政権による仕業なのではという声が、大勢を占めている状況だ。

その“証拠”としてネット上で注目されているのが、二重計上が始められた2013年度と、データの書き換えが止んだ今年3月という時期。安倍晋三氏が2度目の総理大臣就任を果たしたのは2012年の年末で、さらに2度目の総理辞任となったのが20年8月ということで、タイミング的には総理就任後ほどなくして統計偽装が本格化し、総理の座を退いた年の年度末に偽装が止まるという風に、なんとも分かりやすい形で符合する。

さらに、先述の「毎月勤労統計」における偽装が判明した際に、53種類ある全ての基幹統計を対象とした一斉点検が実施されたというが、その際に今回の統計偽装は明らかにされなかったことにも疑惑の視線が。要はこれこそが、今回発覚したの統計偽装が、国交省の役人の胸先三寸で行われていたことではなく、より大きな権力を持つ者の意向によるものだということの証左だというのだ。

今回の「建設工事受注動態統計」にしても、2年前の「毎月勤労統計」にしても、景気に関する報告書である「月例経済報告」をはじめとした、政府による経済分析には欠かせない指標だ。その月例経済報告といえば、第二次安倍政権時には毎月のように「回復」との文字が踊り、政府はそれを根拠に「アベノミクス景気」だとしきりにアピール。国政選挙の際にも、そんな国民には実感がまったく無い好景気を謳うことで勝利を収め続け、安倍政権は長期政権を保つ格好となった。しかし、それも“統計偽装”があったからこそだと、今となっては言えそうである。

Next: 「実感なき景気回復」ならぬ「実体なき景気回復」

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