昨年はイルミネーションが自粛された街も多かったクリスマス。今年はコロナ前に近い風景が見られ、クリスマスムードも漂う年の瀬になっています。メルマガ『ファンキー過ぎる家族がいてもマジメに生きてる娘の話』著者のミーミーさんは、この季節のちょっぴり苦い思い出として、クリスマスパーティーで忙しいスナックの仕事を放り出して消えた父親のエピソードを紹介。70歳前後だった父親が電話の向こうで放った言葉が、いまでは名言に感じられると懐かしんでいます。
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父の「笑った!困った!驚いた!」エピソード:パーティーは1つじゃない
我が家が多国籍スナックを自営していたというお話は過去に何度かさせていただいたのですが、毎年、そのお店でクリスマスパーティーが開かれておりました。ありがたいことに沢山のお客様が参加してくださり、地方の小さなスナックにしてはなかなか盛大なパーティーでした。
お昼過ぎ頃からボウリング場にお客様と女性スタッフが集合。チームにわかれてボウリング大会。その後、夕方あたりからお店に移動して、パーティーが本格的にスタートするという流れでした。パーティーで出す料理の準備、ゲームやプレゼントの準備、母は毎年とても忙しそうでした。
ある年のクリスマスパーティーの日。パーティーが開かれているであろう時間に母から電話がありました。「1時間くらい前からたかおさん(父)がいないの。クリスマスパーティーも忙しいし、いろいろ頼みたいこともあるのに電話しても出ないのよ」。父がパーティー会場から消えた。嫌な予感しかしません。「ねぇ、たかおさんに電話してお店に戻るように言ってくれない?私の電話には出ないけどミーミーちゃんの電話には出るかもしれないから」
私は嫌でした。だって、ただでさえ母からの電話に出ないで店から消えているのですから。私の電話にも出ないでしょうし。しかし忙しく働いている母からの頼み。渋々、引き受けて、父に電話をしてみることにしました。数回の呼び出し音のあと…出なくていいのに出ました。ひそひそ声で「なんや?」と。
「ああ、パパ!今、どこにいるの?」
「えっ?!ほら、あれや、あれ!クリスマスパーティーやないか!!」
「そのクリスマスパーティー会場からパパがいなくなったってお母さんが困って私に電話してきたのよ。お店忙しいらしいよ。戻ってって言ってる」
私がそう言うと、数秒の沈黙の後、父がこう言いました。
「…今、ちょっとこっちも忙しい」
私はイラッとして、「だから!パパが居ないといけないパーティーに居ないから電話したんでしょ!忙しいから戻ってきてって言ってるよ!今どこにいるのよ?」と、問うと、「クリスマスパーティーは1つやないんや」という言葉を残し、電話を切られました。呆然として、父の言葉をたどります。
「パーティーは1つじゃない」
クリスマスパーティーの掛け持ちでしょうか。だんだん名言のような気がしてくるから不思議です。当時すでに70歳くらいだった父。その年齢でクリスマスパーティーのかけもちが忙しいなんて、サンタクロースか父か、くらいでしょう。
今でも、父の「クリスマスパーティーは1つやないんや」が耳に残っています。私のクリスマスの苦い思い出です。(母にそんな名言を伝えたところで激怒されるだけなので電話には出なかったと嘘をつきました。それも心苦しかったです)
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