日本人の的外れな「ユニクロ叩き」。これでは中国政府の「思うツボ」だ

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中国新疆ウイグル自治区での強制労働の疑いにより「新疆綿」の使用禁止の動きが欧米で広がり、日本でも主にネット上でユニクロなど新疆綿使用で目立つ企業への風当たりが強い状態が続いています。しかし実は、日本人のほとんどが新疆綿に依存していること、太陽光パネルやLEDの生産過程でも強制労働の疑いがあることを伝え、「ユニクロ叩き」の現象に疑問を呈するのは、メルマガ『j-fashion journal』著者で、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんです。坂口さんは、新疆綿規制は米国の事情を反映したものであり、日本は独自で直接中国に対して意見すべきと訴えています。

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中国人権問題とユニクロ叩き

1.日本人は新疆綿に依存している

ユニクロがネットで叩かれています。その前提は、「中国はけしからん国」であり、ユニクロはけしからん中国で商売をして金儲けをしている、ということのようです。

中国の最もけしからんのはウイグル族を人権弾圧していることです。強制収容所に入れて、思想教育をして、不妊手術や臓器摘出手術を強制的に受けさせられていると報道されており、私もその報道は間違っていないと思っています。

そして、奴隷労働を利用しているのは、輸出企業ではなく、内販企業が多いのです。中国国内では安い商品しか売れません。強制収容所や刑務所で行われている奴隷労働はほとんどコストが掛からず、政府とのパイプがあればそれを利用できます。ある種の特権であり、高い価格でも買ってくれる輸出企業に特権を使わせる意味はないわけです。これは私が実際に中国で聞いた話です。

ウイグル族が住む新疆ウイグル地区の代表的産業は綿花栽培です。新疆綿といわれるその綿は、繊維長が長く良質で比較的安価です。日本に輸入される多くの綿製品には新疆綿が含まれています。

日本に輸入される中国産の綿製品の多くは素材を現地調達しています。中国で流通している綿布の7~8割には新疆綿が含まれています。また、日本人が着用しているアパレル製品の6~7割は中国製品ですから、新疆綿の製品を使っていない日本人はほぼ皆無ということになります。

ユニクロ、無印良品は、タグに新疆綿と表示しているから目立ちますが、あらゆる量販店、ホームセンター、大型専門店、中小専門店等で販売している綿のアパレル製品、肌着やソックス、インテリア製品、寝装品、スニーカー、雑貨等の全てに新疆綿が使われています。そして、綿製品の繊維を顕微鏡で調べても、それが新疆綿であるか否かは分かりません。

2.綿花栽培と奴隷労働

「新疆ウイグル地区で行われている綿花栽培でウイグル人の奴隷労働が行われている」というのが米国の主張です。そして、奴隷労働ではないという証拠を見せなければ、それは奴隷労働の産物だと認定されます。

「綿花栽培=奴隷労働」は、昔の米国の黒人奴隷の労働を連想させ、とても説得力があります。しかし、現代の綿花栽培は高度に機械化されており、手摘みで行われることはほとんどありません。新疆綿の機械化もかなり進んでいます。従って、新疆ウイグル地区の一部で奴隷労働が行われているとしても、それはごく一部だと思います。

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