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ゲーム実況で115万円稼いだ消防士に懲戒処分。特定されたユーチューバー「足湯」には好意的な声が多数も、その復活を阻む“副業禁止”の壁

和歌山市消防局に務める30代の男性消防士長が、YouTubeに動画投稿を行い収益を得ていたとして懲戒処分となった件で、この消防士長がゲーム実況界隈では結構な有名人だったことが分かり、大きな反響を呼んでいる。

「営利企業への従事等の制限」を定めた地方公務員法への抵触、つまり公務員の“副業禁止”に反したとして、減給10分の1(1か月)の懲戒処分が下された今回の件。報道によると、男性消防士長は2020年12月から21年10月にかけて、計314本の動画を編集し、YouTubeに投稿。動画は計約227万回再生され、約115万円もの収益を得ていたという。

21年10月頃、市に対して「YouTubeで副業をしている消防士がいるのでは」との通報があり、内部調査の結果、消防士長の存在が割り出され、本人に聞き取り調査をしたところ、事実を認めたという。

動画ファンからは「また声を聞きたい」との声

今回の件がテレビのニュース番組で報道された際、この消防士長のYouTubeチャンネルのトップページが、モザイク付きで映し出されることに。

ただ見る人が見れば、それがどのチャンネルなのかは一目瞭然だったようで、すぐさまこの消防士長が“足湯”という名でゲーム実況動画などをあげていたユーチューバーと同一人物であるとの特定に至ったようだ。

その“足湯”のYouTubeチャンネルを見てみると、それまで連日のようにアップロードされていたのが21年11月4日投稿の動画を最後に、バッタリ更新が途絶える形に。さらにTwitterアカウント見てみると、同年11月8日に「ちょっと体調を崩してしまい、長期的に配信を休ませてもらおうと思っています!!」とのツイートが。どうやらこの11月上旬頃に、先述の本人に対する聞き取り調査が行われたものとみられる。

今回の報道に対してSNS上では、副業とはいえ内容はゲーム実況で、その収入も月に均せば10万円程度ということもあり、「それぐらいはいい加減、許してやってもいいのでは?」という意見が多い印象。

また以前より“足湯”の活動を知る人々からは「足湯さんが病気じゃなくて本当に良かった」との声が多数あがっている状況。なんでも“足湯”の配信では、聴覚が不自由な人のために、自らの配信や動画には字幕を付くようにしているなど、その人柄の良さも魅力のひとつとしてファンを獲得していた背景もあるようで、「また声を聞きたい」といった声も数多く聞こえてくる。

「公務員+ユーチューバー」への“妬み”が通報を招いた?

サラリーマンの副業や兼業に関しては国自体が積極的に推進している反面、公務員の間では依然として続く副業への厳しい制限。今回の件も含め、公務員の副業が発覚し処分されたという報道を、ここ近年は定期的に見聞きするような状況で、さらに言えばそれがバレてしまうきっかけは、ほとんどが“第三者の通報”によるものだ。

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今回のケースでは、男性消防士長はユーチューバーとして活動していたものの、ゲーム実況動画が主ということで、自身の声は出ていたものの顔出しなどはしていなかった。また、動画内のトークでも自らの素性のヒントとなるようなことは、ほとんど口にしていなかった模様だ。

そうなると考えられるのは動画のファンではなく、配信している“足湯”の声を聞いて、当該消防士長に似ていると察した人物、要は比較的近しい人間からの通報という線だ。SNS上でも、公務員という安定した職に就きながら、ユーチューバーとして収益をあげていることへの“妬み”が通報に繋がったのでは……そんな見方が大いに取沙汰されているようだ。

そのいっぽうで、減給10分の1(1か月)の懲戒処分というのは、最近のこの手の出来事における処分内容としては比較的軽めなものに。ネット上での評判と同様に、リアルな職場においても好人物との評価があったことで、そのような結果となった可能性も大いにありそうである

ただ、男性消防士長が免職などを喰らうことなく、そのまま勤務し続けることが可能になったとことで、同時にユーチューバーとしての復活は限りなく遠のいたとも言えそう。

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勤務先から兼業を認めてもらうにしても、昨年9月には都立高校の教員が勤務時間外の漫画執筆に関して、不許可とした教育委員会の判断を巡って裁判沙汰になったと報じられるなど、現状においてそれはなかなかに至難の業。動画や配信のファンとしては、軽い処分で済んだことに胸をなでおろす反面、今後のことを考えれば相当複雑な心境といったところだろう。

Next: 「そんな足湯さんを心から尊敬します」

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