米軍基地という「検疫の穴」で感染拡大。交渉力なき日本政府の罪

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感染拡大が止まらないオミクロン株。先日掲載の「沖縄の感染再拡大はなぜ起きたか?筑波大客員教授『引き金は米軍基地』の重大な指摘」に続き、日本国内には米軍基地という「検疫の穴」が大きく開いていることを厳しく指摘するのは、「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で中島さんは、隔離義務や外出制限を課せないのは、日本政府が日米地位協定だけでなく、日本の常識にも縛られているためと述べ、交渉ごとにおける国際基準の欠如を問題視しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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オミクロン株と日米地位協定

現在、オミクロン株が世界で猛威を振るっていますが、一つ明らかになったことは、日本の国境には「米軍基地」という穴が空いているという事実です。

今回、私自身が日本に一時帰国をしようと計画していたこともあり、色々と調べたのですが、ハワイ州から日本に入国する際には、最低でも6泊7日の強制隔離と8泊9日の自主隔離が義務付けられている上に、同じ飛行機に搭乗した人の中に陽性者が出て「濃厚接触者」と判断された場合には、その全ての期間(14泊15日)が強制隔離になってしまうのです。

妻と、これを避ける方法を色々と模索していたのですが、これらの隔離を避ける唯一の方法は「米軍基地から入国する」ことであることが判明しました。米軍の飛行機を使って米軍基地に直接入れば、日本政府による空港での検疫も強制隔離を受ける必要もないし、一旦米軍基地に入ってしまえば、そこから出て日本国内を自由に歩き回ることが出来ます。

残念ながら、私たちは米軍の関係者でも政府の要人でもないので、今回は一時帰国をあきらめることにしたのです。

そんな時に入って来たのが、沖縄で新型コロナへの感染者が大量に増えているという報道です。それも当然のごとく、米軍基地での爆発的感染が、基地外へと広まった結果です。
沖縄のオミクロン拡大「米軍由来」と知事怒り 基地 3日間で403人感染 | 沖縄タイムス+プラス
米軍基地からオミクロン、これが同盟国のすることか 日本の水際対策を水泡に帰す地位協定、米軍は日本人に配慮なしか | JBpress

既に報道されていると思いますが、米国ではオミクロン株の爆発的感染が広がっています(1日の新規感染者数が30万人以上)。しかし、大半の人は既にワクチンを接種している上に、デルタ株と比べれば重症度も低いことも知られているため、政府も社会機能を麻痺させるロックダウンのようなことは行なっていません。

室内でもマスクの着用は一応奨励されていますが、誰もがごく普通に外食をしているし、握手やハグなどの習慣も戻って来ています。

ワクチンを受けずにウィルスを広めてしまっている人もかなりの数いますが、大半がワクチンの危険性を煽るフェイクニュースを信じてしまっている教育水準が低い人たちであり、そこにも社会のギャップが生まれてしまっています。

なので、基地内の飛行場さえ使えば日本政府の検疫を通らずに自由に入国出来る米軍基地の中が、米国本土と同じような感染状況になることは当たり前なのです。

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