圧倒的な生産力と消費力で急激な経済発展を遂げ、カネの力で覇権国家の座を狙う中国。しかしその野望をくじく深刻な国内問題を指摘する声が、専門家から上がっています。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、中国が覇権国家になれない客観的な理由を解説。さらに日本が今後手を組むべき国名を挙げ、その理由を記しています。
中国は●●●問題が深刻すぎて覇権国家になれない
中国は●●●問題が深刻すぎて、覇権国家になれないという話。
質問です。
●●●問題とはなんでしょうか?
そう、少子化問題です。
中国の出生数は2021年、1,062万人だったそうです。
この数字を聞いて、普通日本人は、「すごすぎ!」と思うでしょう。「すごすぎ!」というのは、「メチャ多い!」という意味。
しかし、この件で、私たちは「二つの事実」を知っておく必要があります。
一つ目は、「2021年の出生数は、【過去最少】である」ということ。毎日新聞1月17日。
中国国家統計局は17日、2021年の出生数が1,062万人で、前年比140万人減少したと発表した。5年連続の減少で、1949年の建国以来、過去最少だった61年を下回った。
もう一つの事実。
それは、「傾向」です。
「現代ビジネス」2021年2月16日付、石平さんの記事に、中国の過去の出生数が載っていました。それによると、
2016年:1,786万人
2017年:1,725万人
2018年:1,523万人
2019年:1,465万人
で、2020年は、1,202万人、2021年は、1,062万人。
どうですか、これ?出生数は、6年間で【724万人】も減少しているのです。
なぜ、出生数は減るのか?
皆さんご存じのように、中国は長年「一人っ子政策」という非人道的政策を行ってきました。
しかし、2015年に廃止。2016年から二人まで子供を産んでもいいことになった。さらに、2021年からは三人産んでもいいことになった。
ところが、結果を見れば明らか。「一人っ子政策」が廃止されても出生数は激減しつづけている。なぜ?前述の記事の中で、石平さんはこう説明しています。
2020年の出生数激減に影響した「コロナ禍」という要因以外に、中国のメデイアや専門家たちが共通して挙げた諸要因には、
1.晩婚と結婚率の低減
2.生活様式・人生観の多様化による生育意欲の低減
3.教育費などの「子育てコストの」の高騰
そして
4.住宅コストの高騰などがある。
これ見るとわかりますが、日本や他の先進国と変わらないですね。ですが、日本や他の先進国より、出生率の「激減度」はものすごい。なぜ?
石平さんはいいます。
結局、2016年から2020年までの5年間、中国の毎年の出生数が44%も激減したという、このあまりにも重大にして怪異なる現象が起きている原因はやはり不明のままであって、中国国内の専門家たちもよく分かっていない。
(同上)
「専門家たちもよく分かっていない」そうです。