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お手本は『マクロス』?実用が始まった中国バーチャルキャラクターの最新トレンド。日本とは異なる現実世界への溶け込み方=牧野武文

メタバースへの活用を意識してテック企業が次々と参入したことで、実用用途に使われるバーチャルキャラクターが中国で急増しています。テキストメディアやテレビ局で現在使われている有名なキャラを映像付きで紹介していきます。(『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』牧野武文)

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※本記事は有料メルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』2022年1月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:牧野武文(まきの たけふみ)
ITジャーナリスト、フリーライター。著書に『Googleの正体』『論語なう』『任天堂ノスタルジー横井軍平とその時代』など。中国のIT事情を解説するブログ「中華IT最新事情」の発行人を務める。

メタバースの入り口となるバーチャルキャラクター開発

日本でも「キズナアイ」を始めとしたVチューバーが2018年頃から盛り上がり、今では落ち着きを見せているのもの、一定のファンを獲得して続けています。Vチューバーは、「中の人」がいて、その動きをモーションキャプチャーで読み取り、2次元のバーチャルキャラクターに反映させるというものが主流になっています。

中国でもこのような日本の状況に影響をされ、さまざまなバーチャルキャラクターが登場してきいます。しかし、Vチューバーとはまた違った進化をしています。まず、モーションキャプチャーではなく、パフォーマンスキャプチャーを3Dキャラクターに反映させるというのが主流になっています。パフォーマンスキャプチャーとは、体の動きだけでなく、顔の表情までシンクロさせる精密モデルです。

もうひとつが、AIによるバーチャルキャラクターです。音声テキストを与えれば合成音声で読み上げるバーチャルアナウンサーはすでに日常のものになっていますし、AIが人間と会話をするというバーチャルキャラクターも育ち始めています。

いずれも、話題のメタバースの入り口として位置付けられているため、多くのテック企業が開発をし、試用をしてみる実験ステージになり、そろそろその中から実用的なバーチャルキャラクターが生まれてきているという段階にあるように思えます。

そこで、今回は主要なバーチャルキャラクターを集め、どんな用途に利用されているのかをご紹介します。

急速に増えている中国のバーチャルキャラクター

中国では、バーチャルキャラクターは「虚擬数字人」と呼ばれます。「虚擬」はバーチャル、「数字」はデジタルの意味です。共通した定義はありませんが、多くの人が共有できるのが次の3つの定義です。

1. 人間と似た外観を持ち、識別できる顔貌があり、性別、性格などを持っている。
2. 人間と同じように言葉を使い、顔で表情をつくり、四肢を動かすことができる。
3. 人間と同じように考え、外界環境を認知し、人間とコミュニケーションをとることができる。

ただし、その実現方法は、必ずしもAIである必要はなく、Vチューバーのような「中の人」がいるものもバーチャルキャラクターとして分類されています。この辺りはまだまだ曖昧なところがあるようです。

このようなバーチャルキャラクターは、2020年頃から急速に登場してくるようになりました。当初は、新華社などがバーチャルアナウンサーなどを登場させ話題になりました。元々、中国ではそれ以前から経済の成長が鈍化をし、人を機械に置き換えられるところはどんどん置き換えるという考え方が広がっていました。さらに、コロナ禍が起こり、人との接触を可能な限り避けるため、人をバーチャルキャラクターに置き換えようという動きが広がっていったようです。

バーチャルキャラクターを構成する、TTS(Text to Speech)、AI、3Dスキャン、パフォーマンスキャプチャー、高精細CGといった技術がそれなりに成熟をしてきたことも大きかったと思います。

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