都内から約1時間で大自然へ。ランナーの聖地、千葉県佐倉市をめぐる

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2022/02/12

成田空港地下の京成本線乗り場から上野行きの電車に乗って約30分ほどで着く京成臼井駅前の広場には「ようこそ 長嶋茂雄さんのふるさと 佐倉市 臼井へ」という看板が立てられています。

国民栄誉賞を受賞した、かの「ミスター」は千葉県印旛郡臼井町(現・佐倉市)で生まれ育ち、千葉県立佐倉第一高等学校(現・佐倉高校)を卒業した後に、立教大学を経て、読売ジャイアンツで伝説を作ったのです。

長嶋茂雄記念岩名球場入り口ロビー image by:角谷剛

長嶋さんの功績を讃えるため、佐倉市には「長嶋茂雄記念岩名球場」と名付けられた野球スタジアムがあります。

小出義雄記念陸上競技場正面 image by:角谷剛

球場がある岩名運動公園はその名の通り、野球以外にもさまざまなスポーツ施設が点在する大きな公園ですが、そのうちのひとつである陸上競技場には、長嶋さんと並ぶ郷土の偉人の名前が冠されています。それが「小出義雄記念陸上競技場」です。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

金メダルジョギングロード「裕子コース」と「尚子コース」

佐倉市内に何か所もある「金メダルジョギングロード」の案内標識 image by:角谷剛

有森裕子さん、高橋尚子さんらを始めとして、数多くの女性マラソン選手を育て上げたランニング界きっての名伯楽、小出義雄氏(故人)も千葉県佐倉市の出身だったのです。長嶋さんの母校である佐倉高校で教師をされていた時期もあります。

シドニーオリンピックの後は、地元で佐倉アスリート倶楽部を主宰して、引き続きランナーの育成に情熱を注いでいました。

岩名運動公園内にはよく整備されたクロスカントリー走のコースがあります。全長1.6kmの周回コースで、穏やかな起伏があります。

森の中に柔らかいウッドチップが敷き詰められていて、とても走りやすく、また足に優しいコースです。私が訪れたときはある大学の駅伝チームが練習をしていました。

岩名運動公園内クロスカントリー走コース image by:角谷剛

もう少し長い距離を走るなら、「小出義雄記念陸上競技場」の前からスタートする「金メダルジョギングロード」と名付けられたジョギングコースもおすすめです。


それぞれ「裕子コース(周回13km)」、「尚子コース(往復10km)」を辿れば、のんびりとした田園風景を楽しみながら走ることができるでしょう。都心からでも約1時間しかかからないにもかかわらず、佐倉市は豊かな自然に囲まれています。

自然豊かな印旛沼とオランダ風車

「裕子コース」でも「尚子コース」でもハイライトになるのは、印旛沼周辺かもしれません。とても広々とした風景で、沼というよりは大きな湖をイメージしてもらった方がいいでしょう。周りには山らしい山がない一面の平野なので、空が広く、はるか遠くまで見渡すことができます。

その湖に沿ってサイクリングロードが整備されていて、そこを走ることもできますが、全長は約50kmを越えるそうです。

印旛沼サイクリングロード image by:角谷剛

もちろん、全部を走る必要はありません。印旛沼周辺の見どころスポットとしては「佐倉ふるさと広場」にあるオランダ風車とその周辺のお花畑がよく知られています。春にはチューリップ、夏にはひまわり、秋にはコスモスであふれるそうです。

私が訪れたのは6月末で、ひまわりが咲き始めたころでした。トイレや売店もあるので、ランの途中で休憩するにも便利な施設です。

佐倉ふるさと広場 image by:角谷剛

11万石佐倉藩の江戸時代を偲ぶ歴史探索ラン

佐倉城址公園内 image by:角谷剛

佐倉の歴史は古く、鎌倉時代から千葉氏の支配下にありました。江戸時代に入ると土井氏、堀田氏などの譜代大名が代々佐倉藩主に任じられました。幕末には蘭医学塾兼診療所の「順天堂」が開かれたこともよく知られています。現在の順天堂大学の起源です。

佐倉藩の居城であった佐倉城と城下町の情緒がいまでも市内に色濃く残っていて、その街並みは日本遺産にも認定されているのだそう。

佐倉城址公園」には土塁や水堀の跡などが保存されていますが、大部分は樹木に囲まれた自然公園です。起伏のある歩道で園内を走ることができます。

コンクリートで復元された天守閣などの大掛かりな建物はありません。私にはそれがかえって好ましく感じられます。公園敷地内には「国立歴史民俗博物館」も建っています。

武家屋敷近くの小径 image by:角谷剛

公園から少し離れて町に入ると、江戸時代から残る数軒の武家屋敷が公開されている一角があります。有料のものと無料のものがありますが、庭や建物内部の見学が可能です。

元気のあるランナーは、武家屋敷の近くにある竹林に囲まれた坂道を走ってみるのも楽しいでしょう。もちろん、風情を楽しみながらゆっくり散歩しても、堪能できるはずですよ。


佐倉マラソンは2023年までお預け

この佐倉市で毎年開かれている「佐倉マラソン」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、3年連続で延期が繰り返され、次回の開催予定日は2023年3月26日だということです。

小出義雄記念陸上競技場がスタート・ゴールで、金メダルジョギングコースも含む42km。とても楽しそうなレースのようですので、次こそは無事に開催されるといいですね。

  • image by:角谷剛
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  • ※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
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角谷剛(かくたに・ごう) アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大谷翔平を語らないで語る2018年のメジャーリーグ Kindle版』、『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。

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