脱マスクはいつ?厳しすぎる水際対策に外国人もうんざり、ウィズコロナで世界に遅れを取る日本

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政府が6月から外国人観光客を一部受け入れる方向で検討していることがわかりました。現在は1日1万人としている入国者の上限数も引き上げる方針で、徐々に緩和していく方針です。「厳しすぎる」と批判される日本の水際対策ですが、海外ではどのようになっているのでしょうか。このGWにパリへ出張へ行ったという渋沢栄一の子孫で、世界の金融の舞台で活躍する渋澤健さんが、ウィズコロナで既に遅れを取る日本へ警鐘を鳴らします。

プロフィール:渋澤 健(しぶさわ・けん)
国際関係の財団法人から米国でMBAを得て金融業界へ転身。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(株)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。日本の資本主義の父・渋沢栄一5代目子孫。

ウィズコロナ政策で日本は出遅れているのか

謹啓 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

急遽、出張が入り、GW中に2年3ヵ月ぶりに海外の地を踏みました。行き先はパリでしたが、ウクライナ侵攻でロシア上空を飛べず、直行便は欠航。東回りで、カナダ、グリーンランド、アイスランド上空を14時間飛行し、ロンドンで乗り継ぎました。

ロンドンからパリの機内ではマスク着用が必要でしたが、市内ではマスク着用率は1%未満で、むしろ、マスクをしている方が目立ちます。

日本出国直前になって、外国用のワクチン接種証明書が必要かもしれないと、区役所で通常は5日間かかる手続きを特別に当日に発行してもらいました。

しかし実際は、パリ空港で入国の際に確認されたのは、通常のパスポートだけ。口頭でワクチン接種も聞かれず、もちろんPCR検査はありません。列に並んだのは10分ぐらい(当初は入国審査官が一人しかいなかったので)。直ぐにタクシーに乗り込んでパリ市内へと向かいました。

10年以上ぶりのパリでしたが、最初に向かったスポットはクリニックになりました。日本帰国のために必要な72時間以内のPCR検査のためです。

出国前に日本人が比較的多い16区のクリニックに予約を入れて、グーグルマップで場所を探して足を運びました。(こちらでは全員マスク着用。)日本人ということがわかると対応は慣れていて、検査はあっという間に終わりました。

ただ、結果は当日に出るけれども、厚生労働省が指定する証明書フォームに記入するためには翌日に再び戻って来なければならないと言われ、50ユーロ(約7000円)を徴収されました。結構、高いお値段です。

数時間後、メールに連絡が入り、フランス語の現地用のPCR検査証明書が添付されて、無事に陰性の結果を確認することができました。

フランス語は疎いのですが、厚生労働省フォームが要請しているのと同じ内容が掲載されています。ならば、厚生労働省の検査証明書式でなくても陰性を証明できるはずだと考え、MySOSのアプリで申請しました。

MySOSは日本出国前にスマホにインストールして、1)質問票、2)誓約書、3)ワクチン接種証明、4)出国前72時間以内の検査証明書を登録すれば、帰国の際にファーストトラックで入国手続きが簡素されるという仕組みです。

1)~3)を出張前に登録すると画面が赤色から黄色になります。現地で4)PCR検査証明書を申告して登録完了すると画面が緑色になります。

数時間後、スマホがブルブルと震え、MySOSを確認したら画面が緑色になって検査証明書の登録も完了しました。ただ現地の検査証明書でも受け付けてもらえるんだという喜びはほんの一瞬で、その後は不安が残りました。

出国前に入手した厚生労働省PCR検査証明書式はフランス語でも用意されていましたが、そこに現地の検査証明書でも受け付けるという情報はどこにも掲載されていなかったからです。

日本入国の際に、MySOSの画面が緑色でも指定証明書を求められた場合に色々と面倒なことになると嫌だなと思い、指定証明書を紙の「お守り」として携帯するために翌日に再びクリニックへと足を運びました。

日本の「紙文化」が自分にも染みついていることに嘆きながら。クリニックのお兄さんは、あ~日本人ね、と差し出した厚生労働省証明書フォームにサッサとチェックを入れて返してくれました。

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