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「パソナは落選中の政治家の面倒を見ている」暴露ツイートが大反響の明石市長、過去には特定企業の課税データを“無許可公開”。いっぽう神戸市長など“SNS疲れ”の首長も

兵庫県明石市の泉房穂市長が、自らのツイッターアカウントにて人材派遣業のパソナグループに関する“ぶっちゃけツイート”を相次いで行い、SNS上が騒然としている。

取沙汰されているのは、5月14日の夕方ごろに投稿されたツイートで、パソナに関して泉市長は「政治家や官僚たちがやたら忖度するのが不思議でならない」「パソナは落選中の政治家の面倒を見ている」などと発言。続けて、正社員と派遣社員の間に存在する賃金格差に関しても触れ「なぜか政治家は、この格差を助長する方向で法律改正を重ねている。政治家に何か利益でもあるのだろうか?」と語っている。

これら一連のツイートに対し、フォロワーからは「浪人中に恩を売るというビジネスモデルですか」「だから国の事業にパソナが関われるのですね」などと、驚きとともに納得するといった多数の反応が。いっぽうで「これで泉市長に何かあれば…」といった、その明け透けすぎるツイートがゆえに、市長に危害が及ぶのではと心配する声もあがっている。

パソナ本社の淡路島とは目と鼻の先の明石市

NHKディレクターや弁護士を経て、2003年に民主党公認で衆院選に出馬し当選、その後の2011年には明石市長選挙に立候補し当選を果たし、現在に至っている泉市長。

明石市長になってからは、中学生までのこども医療費の無料化や中学校給食の完全無償化など、独自の子育て支援策を打ち出し、近年では9年連続で人口増を果たすなど、やり手市長として注目を集めることが多い同氏だが、いっぽうで過去には市職員に対する「「火付けて捕まってこいおまえ」などといったパワハラ発言が発覚し、自ら辞職する事態に発展したことも。

さらに、兵庫県の東播磨県民局が制作した自虐的な地域PRムービー、いわゆる「東播磨ちゃん」動画配信に対し「明石は加古川市や高砂市とは違う」などと猛烈なクレームを入れ、周辺自治体から顰蹙と反発を買うといった騒動も起こしている。

そんな泉市長のアカウントにあるプロフを見てみると、「2021年12月からTwitterを利用しています」とあり、どうやらツイッターでの情報発信を始めてからまだ半年ほどしかたってない模様。ただ、ツイッターでのトラブルは今回が初めてではなく、今年2月には市内に事業所が存在する川崎重工業への法人市民税課税額が載った書面の画像を、こともあろうか無許可で投稿。10日後に削除したものの、現在市議会では百条委員会が設置され、この問題に関する調査が続行中のようだ。

いっぽうでパソナといえば、近年その本社機能を東京から兵庫県の淡路島に移転させたことで知られているが、その淡路島と明石市といえば明石海峡大橋ですぐに行き来できるほどの近距離。さらに淡路島と明石市は、衆院の兵庫9区で同じ選挙区という結びつきもある。

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そういった明石市とパソナの“地縁”からしても、単なる大企業批判以上の意味合いも孕む今回の発言。これまでツイッター上に限らず何かと物議を醸す発言が多く、それに対して批判を受けることも多かった泉市長だが、今回の件に関しては噛みついた相手が、政府との癒着や中抜きなどが度々指摘され“政商”とも揶揄されるパソナ、いうなれば“巨悪中の巨悪”と目される存在とあってか、泉市長の肩を持つ意見がほとんどのようだ。

神戸市長は誹謗中傷に耐え兼ねアカウント閉鎖

先の「パソナは落選中の政治家の面倒を見ている」とのツイートは、16日午後の時点で1.6万件のリツイート、3.3万件のいいねを集めるなど、大いにバズらせている泉市長。そのいっぽうで、同じく兵庫県の神戸市では、市長が自身のツイッターにて「近日中にアカウントを削除します」と投稿。その後、本当にアカウントを閉鎖させたことが話題となった。

報道によると、神戸市の久元喜造市長は「事実無根、あるいは歪曲された書き込みに悩んできました。もう限界です」と述べるとともに、あのイーロン・マスク氏がツイッター社を買収するという報道に触れ「状況はさらに悪くなるでしょう。この辺が潮時かもしれません」とも発言。ツイッター上での謂れのない批判ツイートの数々に耐えかねてしまったようである。ちなみに久元市長のアカウントは2013年に開設され、閉鎖時のフォロワー数は約3万人だったという。

総理大臣から各地方自治体の首長まで、猫も杓子もツイッターなどのSNSを用いて有権者などに対して情報発信をすることが当たり前となっている昨今だが、それと同時にいわゆる“SNS疲れ”といった傾向も、これらのカテゴリーの間で広がりつつあるといった状況。ちなみにこういったアカウントの場合、誹謗中傷を繰り返すユーザーをブロックすると、「市民の声を拒絶した」と批判されることがあるといい、逃げ道がないのだ。

その点、今回取沙汰されている泉市長に関しては、ツイッター開設から半年程度と、ツイッター疲れを感じるにはまだ早いというのもあるが、それ以上に先述のパワハラ騒動など様々なトラブルを乗り越え、かれこれ10年以上も明石市長の座に留まる“強メンタル”の持ち主なだけあって、今後も色んな意味で自由すぎるツイートが続いていきそうである。

Next: 「明石市長に置いておくには持ったいない」

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