鎌倉にある古民家カフェの朝定食が大人気。秘密は客がかける“ひと手間”

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鎌倉にある古民家カフェと聞くと、美味しそうな和風デザートなどのイメージが強いですが、実はそこに“日本一旨い”と言われる朝定食があるといいます。そこで今回は、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、自身のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、その意外な人気の秘密を紹介。自分の手でひと手間かけることがお客さんの心を捉えたようです。

日本一旨いと言われる朝定食 人気の秘密は、卵白を自分で泡立てること

鎌倉・稲村ヶ崎。映画にも登場したこの地は、海と山に挟まれ、江ノ電が走る、風情ある街。

その一角、江ノ電の線路横に一軒の古民家カフェがあります。このお店は、小鳥がさえずり始める、静かな早朝から行列ができることで有名です。

朝7時開店。朝定食を目当てに、遠くからもお客さまがやって来ます。

カフェではありますが、魚の干物をメインにした定食を提供しています。「あじ干物定食」「さば干物定食」「ASA(あじとさば)定食」など。

海が近いことから、新鮮な魚を加工した干物が手に入りやすいのです。

この定食には、麦味噌を使った味噌汁とご飯、漬物がつきます。しかし、定食を頼んだ人のほとんどが、サイドメニューである「こだわり卵」を注文します。

このお店の人気の秘密が、この卵にあります。

卵かけご飯にするのですが、普通の作り方ではありません。注文すると、卵と器、小さな泡立て器が運ばれてきます。

まず、卵の黄身と白身を分け、卵白だけを泡立てるのです。これは、お客さまの担当です。

この作業には、結構手間が掛かり、早ければ2~3分、遅い人で10分以上掛かることもあります。

器が小さく、普通のまぜ方では時間が掛かるため、丸棒で火を起こすように、両手でグルグルまわすことを店員さんに勧められます。客席のほとんどで、この光景が見られるのは、少し異様でもありますが。

この泡だった卵白をご飯の上にのせ、まん中に卵黄をのせて完成です。

卵白を泡立てる卵かけご飯は、最近目にするようになりましたが、お客さま自身が泡立てるお店は、他にはないと思います。

この面倒にも思える作業が、お客さまの心を捉えたのです。

泡立たなければイライラしますし、10分以上も掛かれば疲れてきます。しかし、この手間の先に達成感があり、美味しさを倍増させてくれるのです。

お客さまが胡麻を摺る豚カツ屋さんもありますが、こういうひと手間をお客さまは喜んでやってくれます。

それは、あまりやったことのない作業を体験できるからです。

初体験は、気分を高揚させます。それが、美味しさ、さらなる満足感に繋がっているのです。

干物の定食だけでは、朝7時前から行列はできません。「卵白の泡だて」を経験するために並んでいるのです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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