21日に韓国で開催された「米韓首脳会談」について解説したい。同じ共同声明の報道のはずだが、日本メディアと韓国メディアとでは印象が大きく異なる。韓国側の報道からは中国に忖度する姿勢がありありと現れている。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は有料メルマガ『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2022年5月13日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
日本は「“日米韓”連携の必要性を強調した」と報じたが、韓国メディアは言及せず
5月21日、韓国を訪問したバイデン米大統領は、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と初となる首脳会談を行った。
これを日本のメディアがどう報道してるのかを見ていこう。まずは、読売新聞の冒頭を読んでもらいたい。
米国のバイデン大統領は21日、韓国の尹錫悦大統領とソウルの大統領府で初めての首脳会談を行った。北朝鮮による挑発が強まる中、バイデン氏は韓国に対し、「核の傘」を含めて同盟国を防衛する「拡大抑止」の責任を果たすことを確認し、米韓合同軍事演習の拡大に向けた協議を始める方針などを共同声明に盛り込んだ。日米韓の連携の必要性も強調した。
韓国メディアの報道との違いは。「日米韓」の連携の必要性も強調したという点だ。韓国メディアは、ここに触れられていない。
では、読売新聞が勝手に入れたのだろうか?
実はそうではない。なぜなら、米国側の共同声明要旨には次のように書かれている。
両首脳は、朝鮮民主主義人民共和国の課題に対応し、共有された安全と繁栄を保護し、共通の価値観を支持し、規則に基づく国際秩序を強化するための日米韓3国協力の重要性を強調する。(※筆者翻訳)
出典:United States-Republic of Korea Leaders’ Joint Statement | The White House(2022年5月21日配信)
これを読んで、読売新聞は「日米韓の連携の必要性を強調」と書いたわけだ。
ただ、日米韓の連携が朝鮮民主主義人民共和国の課題に対応というのは、北朝鮮関連やその非核化交渉での連携に止まっている。