就任後、初めてのアジア訪問を終え24日夜、横田基地から帰途についたアメリカのバイデン大統領。一定の成果を強調しましたが、バイデン大統領の頭を悩ますのは中国や北朝鮮だけではないようです。対中国戦略に於いて非常に重要な「ASEAN」とアメリカのまずい関係を日韓との関係や、話題のIPEFの問題も絡めて解説していきます。
バイデン大統領とアジア
アメリカバイデン大統領が20日から韓国を訪問後、22日来日し23日に日米首脳会談、そして24日にはクワッドの首脳会議が開かれました。
韓国では真っ先にサムソンを訪問しましたが、今韓国は半導体のシェアが世界トップで23%という環境下、まずは経済安全保障上極めて重要な半導体の中国に左右されないサプライチェーン確保という意味でのアピール、そして勿論安全保障の強化ですね。
対北朝鮮での連携と言いつつ実際は対中国を意識した軍事同盟緊密化だと思います。
日本では強固な日米同盟のアピール、後で述べますがインド太平洋経済枠組み(IPEF)の正式な発足表明、そしてなんといってもクワッド開催、ここにはインドモディ首相も来ました。
こういったことを通じてのアジアに於ける影響力のアピールには絶好の場所と言えます。
ウクライナ危機を経験してアメリカが実感しているのは、今、アメリカ主導で国際世論を形成する際に現実的に味方として計算できるのはアジアでは日韓のみ、という現実です。
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苦戦する対ASEAN
その中で、アジアでウクライナ紛争のような危機を起こさない為には、如何に日韓との強固な関係を利用しつつ、他の国との協調体制を構築していくか、という動きがキーになってきます。
そして、紹介して来たサウジやインド同様、中国包囲網にはどうしても必要ながら中々取り込めない国々が、ASEANの10か国ということになります。
この日韓歴訪前の5月12~13日に、バイデン政権はASEAN諸国のトップをアメリカに招待して特別首脳会議を開催しましたが、ここにはミャンマー除く9か国の首相、国王クラスが集まりました。
そこで、「包括的戦略パートナーシップ」にアメリカとの関係を格上げするという共同声明を発表し、海洋問題やクリーンエネルギーのインフラ支援に対し1億5千万ドルの支援を発表しました。
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しかし、これでどれだけASEANを重要視していることのアピールが出来たのか現段階では不透明です。